復讐心で覚醒したら、魔法も人格もバグった件
いぬぬ/犬怒
第1話 予感
木々の隙間から差し込む太陽の光で太刀筋が銀色に光る、全くブレのない美しい軌道。
「グオォォォォォ!!!」
うめき声をあげながら膝から崩れ落ちる魔物。たった一太刀で巨大なオーガを倒して見せたのは、この物語の主人公”アレン・ノア”年齢は23歳、黒髪短髪で朱色の瞳の青少年。
俺はかつて大陸最強と言われていたギルド《
そんな俺は今、ギルドに入ることはなく町から離れた場所にある魔物の森で姉と二人で暮らしている。森で暮らしている理由はただ一つ魔物が居るから。だってわざわざ森に行くなんてめんどくさいじゃん?
森の奥、開けた場所に立つ小さな小屋。揺り椅子に座り、編み物をしているのは俺の姉”リリア・ノア”
姉さんは体が弱く、戦闘はできないが代わりに料理や洗濯など家事を中心に俺のことを支えてくれている。
「帰ったよ、姉さん」
姉さんはすぐ手を止め、声のする方向に顔を上げた。目の前には大きな牙を肩に乗せているアレンがいた。牙の大きさはアレンの身長を優に超える大きさだった。リリアは心配そうな顔で見つめ、近くに駆け寄る。
「お帰りアレン。けがはない?毎日取りに行かなくてもいいんだよ?お金ならまだ――」
「俺なら大丈夫だよ、姉さん。ギルドのクエストよりかは楽勝だよ」
そう言うも、リリアの顔は曇ったままだった。
「今からこの牙を町に売りに行くから。今日も姉さんが好きなスライムベリーのケーキを買ってくるよ」
木々の隙間から差し込む太陽の光で太刀筋が銀色に光る、全くブレのない美しい軌道。
「グオォォォォォ!!!」
うめき声をあげながら膝から崩れ落ちる魔物。たった一太刀で巨大なオーガを倒して見せたのは、この物語の主人公”アレン・ノア”年齢は23歳、黒髪短髪で朱色の瞳の青少年。
俺はかつて大陸最強と言われていたギルド《
そんな俺は今、他ギルドに入ることはなく、ギルドから遠く離れた町にある魔物の森で姉と二人で暮らしている。
森で暮らしている理由はただ一つ魔物が居るから。だってわざわざ森に行くなんてめんどくさいじゃん?それにクエストよりお金が多くもらえるし。
森の奥、開けた場所に立つ小さな小屋。揺り椅子に座り、編み物をしているのは俺の姉”リリア・ノア”
姉さんは体が弱く、戦闘はできないが代わりに料理や洗濯など家事を中心に俺のことを支えてくれている。
「帰ったよ、姉さん」
姉さんはすぐ手を止め、俺の方向に顔を上げた。俺はさっき狩ったオーガのツノを担いでいるので姉さんは心配そうな顔で見つめ、近くに駆け寄る。
「お帰りアレン。けがはない?毎日取りに行かなくてもいいんだよ?お金ならまだ――」
「俺なら大丈夫だよ、姉さん。ギルドのクエストよりかは楽勝だよ」
そう言うも、リリアの顔は曇ったままだった。
「今からこの牙を町に売りに行くから。今日も姉さんが好きなスライムベリーのケーキを買ってくるよ」
姉さんを喜ばせようとしたが、あまり効果はなかった。少し表情が明るくなったように見えたがまだ暗いままだ。
心配している姉さんを横目に俺は町のほうに歩きだした。姉さんが心配するのもわかる。最近は妙な視線を感じることが多い。この前も人影を見たって姉さんは言ってたっけ?
<マグノノリア 街中>
俺が森から降りてきたのは商業が盛んな街マグノノリア。ここでは魔物の素材の買取や販売を中心とした街である。
「いつもありがとうねぇ、アレンちゃん。最近はオーガの牙が多いねぇ」
「そうですね。ここ最近、頻繁に出会うので」
そんな他愛もない会話をしたのは、素材屋の店主”ミラ・セラフィム”さん。
おっとりとした言葉遣いで話すのが特徴的のおばちゃんだ。採取した素材を高値で買い取ってくれるので、いつもお世話になっている。
世間話をしながら、素材の状態や大きさを見てもらい、値段をつけてもらう。10万G《ゴールド》を受け取り、慎重にバックにしまった。挨拶をして、店を後にしようとするとミラさんに呼び止められた。
「アレンちゃん!森は気を付けてね!なんだか最近変な噂を聞くのよぉ。」
「森に……?」
「そう!変なギルドができたって。確か……闇ギルドだったかしら?”三つ目の悪魔”が特徴的らしいの。アレンちゃん達、森に住んでるでしょ?だから一応ね」
話を聞いた俺はミラさんにお礼を言い、軽く会釈してその場を離れた。
この後は姉さんへのお土産を買うために露店が並ぶ大通りに行く。今日はスライムベリーのケーキだったけ?しかし、この日だけはお土産のことはそっちのけで姉さんのもとに真っ直ぐ歩き出した。
この町には森は一つしかない。俺と姉さんが住んでいる森だ。
姉さんが言っていた人影……なんだか胸騒ぎがする。俺の心を表すようにだんだんと空に雲がかかっていく。
闇ギルド。ギルドにいたときに少しだけ耳にしたことがあるが、どんなギルドなのかは全く知らない。正体不明だ。
姉さんは体が弱い、そのギルドの奴に襲われでもしたら……
俺は拳を固め、思い過ごしであってくれと願いながら、早足で姉さんのもとに帰る。
帰り道の途中、いくつか人の痕跡を見た。足跡、小さな目印、そして気配。人がいない場所に長らく住んでいるおかげか、人が残す痕跡にはかなり敏感になっていた。
その痕跡は小屋に近づくにつれ、はっきりとしていった。小屋が見えてきたと同時に俺は思わず息をのんだ。足跡が小屋に向かっている。
(闇ギルドの奴に見つかった?いや待て、この森で迷子になった人かもしれない)
そんなことが頭の中をぐるぐると回っており、緊張と不安でどうにかなりそうだったが俺がいれば姉さんは守れる。早く帰らないと
――腕に力を込めて扉を開ける。ギィィと年季が入った音を立てながらゆっくりと開いた。小屋の中は、静まり返っていた。いや、“静かすぎた”。
「…ただいま、姉さん」
呼びかけても返事はない。
アレンはすぐさま部屋の奥へと足を運ぶ。冷静を装っていたが、心臓の鼓動が耳に響くほど速くなっていた。
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