時間が巻き戻って、心を入れ替えた悪役令嬢は何故か愛されるようになりました!
有栖華
第1話
【ミルフィーside】
私はミルフィー・アイルデア。
上から、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵と位があるけど、私は1番上の公爵の令嬢。
プラチナブロンド色の髪に、空色の瞳。
人は皆、私を悪役令嬢と呼ぶ。
公爵家の恥晒しだと。
「お父様、おはようございます」
「……」
挨拶しても返ってこない。
これが私の日常だった。
私なんて存在していない人のような扱いを受けて。
私は愛されていない。
家でもそうだし、腫れ物扱いは学園でも変わらなかった。
「あら、ミルフィー様が来られたわ」
「今日はどんなことを仕出かすのかしら」
ひそひそ聞こえる私の話題。
もちろん、それはいいものじゃない。
大半が私の悪口。
でも、それは直接に言うわけじゃない。
私は一応公爵家の人間だから、面と向かって言うことは出来ないのでしょうね。
「皆さん、おはようございます!」
「おはようございます、ソニア様!」
「今日も麗しいです!」
急に変わった雰囲気。
令嬢も令息もその人が来ただけで嬉しそうな顔をしている。
彼女の名はソニア・フルーエント。
整った容姿に加え、明るくさばさばした性格。
だから、この学園の人気者で誰からも愛されている。
……私とは正反対。
グッと湧き上がる嫉妬や憎しみ。
それらが私の胸を黒く渦巻き、どうしようもない衝動に駆られた。
「ミルフィー様もおはようございます!」
「……」
そんな状態の私が返事なんて出来るはずもなく、当然のように無視をした。
「まぁ、何ですの。あの態度」
「ソニア様、気になさらないでくださいね。ミルフィー様はいつもああなのですから」
「えぇ、そうですね。皆さん、ありがとうございます」
当然のように愛されているソニア。
私とソニアの何がそんなに違うの……
やっぱり許せない……
――気づいたら、やり過ぎてしまっていた。
「アイルデア公女、そなたの愚行は度が過ぎる」
ソニアは泣いていて、そのソニアを守るように立つ皇太子殿下。
こちらを物凄い形相で睨みつけている。
ただ単純にソニアが羨ましかった。
そうやって誰からも愛されているソニアが……
それがどんどん悪い方向へと増幅していった。
いつから、私はこんなに……
「何か言い残すことは?」
首筋に剣が当てられた。
誰からも蔑んだ視線を送られている。
私が望むのは……
「もうこんなことはしないわ」
だから、もう1度やり直させて……
もう2度と酷いことはしない。
きちんと心を入れ替える。
だから……だから、お願い。
やり直しのチャンスをちょうだい……
【了解した】
えっ……?
誰からも分からない声が聞こえた後、突然光った。
「何だ……?」
誰もが困惑する中、その謎の光は私を包み込み、私自身は妙な眠気に襲われた……
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