願わせて、これだけは。
ニヒル
願わせて、これだけは。
神様を、信じますか?
学生の頃、
雨よ降れと願ったり、
休校になれと願ったり、
好きな人の隣の席になりますようにと願ったり、
受験合格しますようにと願ったり、
何度も何度も神様へとお願いをした。
それはもう、純粋で、真っ直ぐな気持ちで。
年齢を重ねていくうちに、当たり前を失い始め、
やっと気づき始める“幸せ”という存在。
経験を積み重ねる度、迷路に迷い込んだように、
崩れ始めるわたしのアイデンティティ。
辛さを噛み締めていく。
苦しみを踏みにじっていく。
悲しさがこころを蝕んでいく。
感情がぐちゃぐちゃに澱んでいく。
泣くのを我慢しすぎたせいで、
泣き声を我慢しすぎたせいで、
はち切れたその声帯は、
まるで、生きたいと叫ぶ声。
または、生きたかったと絶望する悲鳴。
悲しみを我慢しすぎたせいで、
苦しみを我慢しすぎたせいで、
はち切れたその生体は、
まるで、生きたいと弾く音。
または、生きたかったと絶望する残響。
大丈夫と我慢しすぎたせいで、
はち切れたその正体は、
まるで、生きてみたかったと切実な呟き。
その度、神様なんてクソ喰らえと空を睨んだ。
見えないのに、見た事ないのに、神様を恨んだ。
いつしか目から溢れる涙で見えなくなった。
人生への絶望で、たまらなくなった。
死にたい。
消えたい。
悔しくて、悲しくて、辛くて、
神様が私の涙を隠すために降らす雨よりも、
先手を打った涙がわたしの苦しみを弔い、
もう一度、空へと叫んだ。
雨なんか降らなくたっていい。
学校や仕事が休みにならなくたっていい。
好きな人と離ればなれになったっていい。
将来の夢が叶わなくたっていい。
これだけ、
せめて、
神様。
これだけ、
せめて、
願わせてください。
…、……。
明日、ちゃんと、生きていますように。
願わせて、これだけは。 ニヒル @Mmm_01
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