主人公青葉芽吹は小説投稿サイト「ヨミカキ」でミステリー小説を投稿しますがPV伸びません。
しかし、ある時、人気ミステリー作家の有田イルがレビューを投稿し、さらには暗黒巨星ベガなる作家もレビューをしてくれた。
お礼に自分も読みに行かないとと暗黒巨星ベガの作品を読んでみると、あまりの癖強文章に読むの断念。
このあたりの下り、もう本当に「あるある!」って叫んでしまいます。
別に☆の付け合いじゃないけど、応援されたり、☆もらったり、ましてやコメントレビューもらったら相手の作品も読みに行くじゃ無いですか。
でも、読んでみたら、あまりにも自分の趣味と合ってないとか、読みづらいとか、いろいろあって断念……ってカクヨムでそれなりに活動してれば、ままあることじゃ無いかと思います。
評者も何度かありました(苦笑)。
そういったWeb小説作家のリアルが深刻にならない軽妙な文章で描かれ、笑いと共に小説に引き込まれます。そして最期の仕掛けが秀逸。
ぜひ皆さんに読んでもらいたい作品です。
小説投稿サイト「よみかき」で本格ミステリーを投稿し始めた青葉芽吹。彼女が投稿した小説は誰にも読んでもらえないまま大量の他作に埋もれていって――。
誰もが経験する投稿初心者時代がとてもリアルに描かれます。カクヨムの書き手であればきっと「あるある~」と思えることでしょう。
この手のお話ではPV0の絶望みたいなものが必要以上に強調されることが多い気がしますが、本作では芽吹自身が「自作を読んでほしくて星レビューしてるとは思われたくないなぁ」など「譲れないこだわり」を持っています。彼女がそういう芯の強いキャラであるおかげで、悲愴感や焦燥感が前面に出ているわけではなく、その点も好感度が高かったです。
さらにそのリアルさを崩さずしてラストで驚愕の真相を提示する。素晴らしい構成の作品でした。
主人公・芽吹とイルとベガの三者?で綴られるWEB小説のリアルなあるある小噺。
芽吹にとって書籍化作家の有田イルは雲の上の存在でした。ある日のこと、そんな凄腕作家から自分の作品に簡潔なレビューが届きます。
跳ねるPV、ランキング上昇。テンションはもちろん上々⤴︎⤴︎です。
はい、ここまではいいです。
しかし、今度は暗黒巨星ベガという不思議なペンネームから超長文のおすすめレビューが届きます。さっきの有田イルとは対照的な印象。コレは何だ?
読み返しにレビューを試みようとする芽吹。ベガのクセの強い作風に苦戦しつつ客観的にクスッとしながらも読者代表として皆さんを巻き込んでいく楽しさが堪りません。
気づけば伏線、読み終えて納得の回収劇。
読み終えて思わず「騙された」と唸ることでしょう。それだけラストに思わずアッと思わせる仕掛かけが込められているのです。
注意を払っていた私もまんまとやられてしまいました。完全に想定外。作者様は相当な手だれですね。
無意識のうちに思考が絡め取られて気づけば巧妙な罠にかかっている。そんなミステリーテイストを織り交ぜている作風もこの作品のもつ醍醐味の一つではないでしょうか。
総じてエンターテイメントの方向性を示しながら躍動する展開の先に待つラストの落とし穴。
読者を意識したあるあるも含めとても期待値の高い作品と評したいオススメの短編小説です。
編集者さん超有能です。
いやほんと、この方のありがたみが非常によくわかる……。
この名もなき編集者さんの存在のおかげで、煌めく一等星が暗黒うんちにならずに済んでいるわけですから。
やっぱり編集者ってすごい。
また、名前による言葉遊びも実に秀逸なものを感じさせます。
特に、作中の小説タイトルに思わずクスッと来てしまうこと間違いなし。
こういった要素がきちんと考え抜かれている作品、実に自分好みです。
そして、うんち要素の実にぶっ飛んでいること……!
こりゃあ、うん、駄目ですね……編集者さんいい仕事してます……。
いやぁ、インターネッツはこわひところですね。
ゲラゲラ笑いながら読ませていただきました。
サクッと楽しく読めますので、胸糞要素なく気分良く笑いたい方にはぜひともお勧めしたい作品です。
創作初心者の気持ちが、ここまでリアルに描かれているとは──。
あらすじだけではわからない、ちょっとした“痛み”と“喜び”の波が、じわじわと胸にしみてくる作品です。
出てくるのは、名前だけなら一瞬で流しそうなような、ネットの片隅にいる“作家たち”。
でも、その一人ひとりに確かな物語と感情があって、だからこそ読んでいて他人事じゃなくなる。
書く人・読む人ならきっと「あ、これ自分だ」と思う場面がどこかにあるはずです。
構成も絶妙で、三話を通して読んだときに「あ、そういう仕掛けだったのか」と、
静かに膝を打つような納得感があります。
軽妙なテンポとユーモアの裏に、深い共感が隠れている──そんな印象の、上質な短編でした。
とてもユーモラスかつリアルな創作投稿サイトあるある小説!
この作品は「小説投稿サイト」で奮闘する初心者作家・芽吹の悲哀と喜び、そして他の作家やレビューアーとの微妙な距離感が、実にコミカルかつ愛情深く描かれています。
投稿初日の「全然読まれない!」という苦しさ、思わぬ人気作家からのレビューが爆発的なPV増につながる一時の夢、そして一瞬で平常運転に戻るランキングの現実など、ネット作家の誰もが経験する「あるある」な気持ちがとても細かく、共感を誘う筆致です。
また、他作家との“レビュー合戦”や“クセの強いレビューアー”、ジャンル違いの投稿の困惑や「レビュー書かなきゃいけないプレッシャー」、ジャンルや話数の多さに圧倒される戸惑いなど、どの描写も生々しく、それでいて笑える仕掛けが満載です。
“注釈だらけ”や“オリジナル言語”のギャグもセンス抜群で、芽吹の苦悩がコミカルに描かれているところに作者の優しさも感じます。
第3話では、有田イルや芽吹の大学時代のエピソードも絡めて、プロとアマ、人気作家と初心者の間の「本当はみんな書きたいものを書きたいんだ!」という叫びが爽やかに伝わります。
作品そのものが「ネット小説文化」への愛と皮肉、そしてエールに満ちています。
改善点・辛口ポイント
ギャグ・テンポ重視のため、一部の登場キャラが類型的で、個別の強烈なキャラ立ちまではやや届かず。
サイト内文化の内輪ネタ感が強めなので、同じ経験がある人には刺さるが、投稿サイト未経験の読者には一部伝わりにくい箇所も。
“注釈だらけ”ネタや“言語ネタ”は好き嫌いが分かれそう。(個人的には大好きですが!)
採点(★~★★★)
★★★(満点3つ星)
初心者作家の悲哀、ネット投稿の喜怒哀楽、そして「書くこと」の苦しみと楽しみが、これほどまでコミカルに描かれているのはすごい。
同業者・書き手目線では間違いなく「星3つ」。
もし読書経験やネット小説文化が浅い読者でも、主人公の一生懸命さと可愛らしさは必ず伝わるはずです。
総評一言
「小説投稿者の“あるある”が詰まった、皮肉と愛情のコミカル短編。苦いけど笑える、ネット小説世界へのエール!」
一度は小説家への道を諦めるも、投稿サイト「よみかき」で活動し始めた、ある初心者作家の物語
ミステリー好きな主人公は渾身の一作をサイトに投稿するも、知名度のなさから誰にも読んでもらえず
そんな中、あるミステリー作品を見つけた主人公は、その出来映え、面白さに夢中になり不慣れながらもレビューを送ります
とまあ、ここまではあらすじの内容ほぼそのままですが
ここから先が大変に可笑しく笑いとツッコミの渦に呑まれつつ読み進めてしまいます
投稿サイトあるあるネタの先に待ち受ける衝撃、いや笑撃の結末
皆さま是非ともご覧下さいませ!