一緒に下校

 次の日、オレは彼女の教室に遊びに行った。

 

 で…いつも必ずオレの彼女の隣に、佐久間さくまくんという男の子がいます。

 

 オレが来ると、めっちゃイヤそうに自分の席に戻る…かと思えば、他の女子のもとへと向かう佐久間くん。

 

 毎回、違う女の子のところに行くんだよなー。

 

 佐久間くん…ちょっと気になる存在だ。

 

 だって…オレが来るまでの間モカと、めっちゃ仲良くしてるっぽいんだよね。

 

 オレが彼女と付き合う前も、こんな雰囲気の感じだった…な。

 

 モカ、あの頃は…よくオレに笑顔向けてくれてたのに…

 

 今は、あんまり…

 

 

 …

 

 

 なんか、嫌な予感しかしない。

 

 そもそもオレは、予知とかそんなのできないけど…

 

 でも、なんか…

 

 なんか…

 

 …

 

 

 そんなモヤモヤの日々を過ごしている。

 

 そしてモカの教室に行くと、やっぱりモカと佐久間くんがいつも通り、仲良くしてたんですよねー。

 

 で、佐久間くんがオレに気づくなり

「あー、彼氏くんだー」

 って、ダルそうに言って去って行った。

 

 そしてモカも、

「あー…」

 と、少しウザそうにこちらをみた。

 

 

 …

 

 オレって…彼氏なのに、なんか邪魔者感…。

 

 

 だから、次の日からモカのクラスに行くのを遠慮した。

 

 あんな顔、されたらね…

 

 

 

 そしたら次の日の放課後、モカがオレのクラスに佐久間くんとやってきて、

「佐紀斗ー、わたし佐久間くんと付き合うわー。」

 と手をフリフリしてきた。

 

 そのあと、ひょっこり後ろから佐久間くん登場。

 

「そういうことだから彼氏くんごめんねー。てか、元カレくんかー。てか元カレくんの隣にいんの紗奈じゃん。ははっ、笑えるわー、じゃそういうことなんでー」

 

 

 と、二人は顔を見合わせて笑いながら帰って行った。

 

 

 え…?

 

 なにそれ⁉︎

 

 佐久間くんと帰るわーみたいなノリで、付き合うわーって…そんな大声で…。

 

 

 クラス中が、一瞬固まったよね。

 

 シーンとしてさ…

 

 気まず…

 

 

 オレは何事もなかったかのように、帰り支度をした。

 

 すると隣の席の人がいきなり、

「復讐のとき…」

 と呟いた。

 

「えっ?」

 

 オレは思わず耳を疑った。

 

 疑いすぎて、一瞬わけがわからなくなった。

 

 

 復讐…?いや、復習だよね⁇って。

 

 うん、復習に決まってる。

 

 さて、帰ろっと。

 

 こうなること、わかってたし。

 

 

 バッグを背負うと、いきなりのしかかる重圧。

 

「えっ…おもっ」

 バッグをみると、隣の席の人がしがみついていた。

 

「え…?」

「あ…の…」

 

 …

 

「どうしたの?」

「あ…えと、うちに来ませんか?」

 

 ⁉︎

 

 うちに来ませんかだと⁉︎

 

 なんですって⁉︎

 

 えぇえっ⁉︎

 

 

「あの…それは、どういう…?」

「人助けも兼ねて…お願いします。一緒に、うちにいいですか?」

 と、すがるような目でみてくるもんだから…オレは思わず、行きます…と答えていた。

 

 

 そしてなぜか一緒に帰るオレと隣の席の人。

 

 …

 

 隣の席の人は、紗奈さなさんというのだそう。

 

 ほとんど話したことなかったけど、意外と面白い人だとわかった。

 

 

 まずオレは、なんでハグしようってこの前言ったのか聞いてみた。

 

 そしたら、ハグをするとカラダからいいものが分泌されて、ストレス軽減効果があるから、落ち込んだ人を慰めるのに最適だったらしい。

 

 

 ハグしようってのは、優しさだったのか。

 

 てか、オレが落ち込んでるのが丸わかりだったってことだ。

 

 …

 

 まぁ、それはそうだよね…

 

 紗奈さん…オレの隣だし、ずっとこっちみてたもんな。

 

 だから一応お礼は、述べた。

 

 

 で、そんなこんな会話していたら…

 

 佐久間って表札が目に入った。

 

 

 …

 

 イヤな苗字だ…

 

 さっきまで彼女だった元カノの今カレを思い出す…。

 

 

 ややこしいが、そういうことだ。

 

 展開がめっちゃ早くないか⁉︎

 

 てか…

 

 お互い早くないか⁉︎

 

 

 元カノは、新カレができて…

 

 オレは…

 

 オレも彼女と別れたその日に…別の女性と歩いているって…

 

 

 まぁ、オレの場合は新カノとかじゃないけどさ、でも…知らない人からみたらヤバい奴らだ。

 

 知らない人がみたら…

 

 あ、それは…他人か。

 

 ヤバくないですね…

 

 だって、オレの状況なんて他人は知らないもんな。

 

 さっき彼女と別れて他の人といまーすって、言って歩いてるとかじゃないもんな。

 

 

 でも、クラスの人がみたらわかるかも?

 

 あいつらって…みたいな?

 

 てか、そんなことどうでもいいや。

 

 佐久間って表札をジーッとみながら、そんなくだらないことを思っていたら、紗奈さんが…

 

「その佐久間って表札、あいつんちだよ」

 って教えてくれた。

 

 

「えっ⁉︎」

 

 

 …

 

 

 続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る