#40 召喚だぁあああああああ!!
僕はすぐさま杖を持って、一本線を描いた。
すると、僕のすぐ側から巨大な腕が現れ、彼を鷲掴んだ。
バングリーは悲鳴を上げなかった。
頭部だけしか見えていないが、すました顔をしているのが分かった。
それが何と腹立たしい事か。
僕は続けて、二本線を描く。
今度はバングリーの頭上から大陸ぐらいあるのではないかと思うほど、巨大な口が現れた。
大きく開けて、何億本もの鋭い歯を見せながら迫っていった。
でも、これだけでは駄目だ。
この口の中から大量の怪物を放出させないと。
三本の線を描き、口から無数の化物を放出させた。
それは、エイリアンという言葉がふさわしいほど、全身がヌメヌメしていた。眼や口は確認できず、両手から長い針が付いていた。
それが何億も来たら、捕まっている彼はさぞ絶望するに違いない。
もしかしたら謝って、開放してくれたら金貨や武器をあげるみたいな契約をもちかけられるかもしれない。
絶対にするもんか。
でも、化け物が目の前まで来ても命乞いはしなかった。
あっという間に、化け物に埋め尽くされた
きっと身体のあらゆる所を貪られているのだろう。
でも、泣き叫んでいる声は聞こえないな。
さすが大罪といった所か。
このままジッと化け物のお食事タイムをじっくり見てもいいが、あんな魔法攻撃をビクともしない悪魔だ。
たかが禁断の魔法を数個使ったぐらいで、倒せるような相手ではない。
徹底的にやらないと。
完膚なきまでに。
僕は四本の線を描く。
すると、僕の背中がゾクゾクしてきた。
振り返ると、何かいた。
見た目はヤギだが、紫と黄色が入り混じった体毛をしていた。
「ゲギャギャギャギャ!!!」
ヤギが何かを要求するかのように叫んでいた。
これはもしかして、もっと仲間が欲しいと言っているのかな。
ならば、その願い、叶えてあげよう。
何回も同じ魔法を使った。
五十体ぐらい現れた所で、またヤギが鳴いた。
今度は違う怪物を要求しているらしい。
では、五本線はどうだろうか。
やってみると、ヤギの頭が割れた。
「うわぁ!」
僕が声を上げて驚いていると、割れ目からヌメヌメした腕が出てきた。
滑るように現れたのは、一つ目の怪人だった。
ヤギと何か会話しているようだが、何を言っているのか分からなかった。
すると、一つ目が僕の方を見て、片方は手を広げて、もう片方は人差し指天をさしていた。
これは何かの暗号だろうか。
じっくり見てみるが、何を表現しているのかさっぱり分からない。
でも、必死に同じようなポーズをしていた。
これはもしや、数字を表しているのだろうか。
指の数として考えるなら、『六』か。
よし、六本の線を描いてみる。
すると、ヤギと一つ目が合体した。
現れたのは、筋肉ムキムキのヤギの頭をした一つ目だった。
これがこの魔物の最終形態なのだろうか。
禁断の魔法によって生み出された怪物。
それが五十体もいるのは心強――くはない。
数が圧倒的に少ない。
数えられる程度では到底悪魔には勝てない。
えっと、数を増やすには、普通にかけてもいいのだろうか。
それとも他にあるのだろうか。
七本の線を引いてみた。
彼らの背中から真っ黒な翼が生えた。
八本の線を引いてみた。
角が大きくなった。
九本の線を引いてみた。
翼がさらに大きくなった。
うーん、これではただ強化されているだけ。
もっと強力な、圧倒的な変化が必要だ。
では、こうすればいいのではないか。
八本から一気に何十本の線を引いてみるのは。
つまり、連続してやるという事だ。
よし、そうと決まれば。
僕は一気に八本から五十本まで連続してかけてみた。
すると、一つ目ヤギの怪物はドンドン巨大化していき、半分に裂けたかと思えば、それが全く同じ姿になったりした。
何十、何百回と分裂していき、いつの間にか何万体にもなった。
いや、何億体もいるかもしれない。
姿もますます不気味になっていった。
舌が五十万本ぐらいになり、尻尾が百万本に分かれていた。
翼以外にも炎の棘が生えたり、角に電流が流れたりした。
新たな怪物も生まれた。
僕と身長が同じで人型だが、全身が真っ黒だった。
眼が赤く、邪悪といったらコレと言っても過言ではないぐらい凶悪な見た目をしていた。
そいつは何万人といた。
その中のリーダーっぽい人が僕の所にきた。
なぜこいつがそうであるのかが分かったのかというと、ほとんどが赤い眼をしているのに対し、こいつは緑色の眼をしていた。
そいつは、ギャギャギャと何かを言っていた。
しかし、喋っている間、まだ魔法の効果は終わっていないのか、そいつの肉体が変化していった。
身長は五メートルぐらいになったり、人の顔から牛の顔に変わった。
耳が大きな角に変わり、お腹に眼と口が生えた。
それがまた不気味なこと。
その口は半開きだったが、無数の歯があった。
眼も何個もあって、何故か血の涙を流していた。
それでも奴はまだ喋っていた。
このまま最後まで話を聞いてあげようかなと思っていたが、環境が一気に変わった事によってそれどころではなくなった。
さっきまで空にいた僕らが、いつの間にかメルヘンチックな世界に変わっていた。
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