プチ断食
金子よしふみ
第1話
給料が入るのは明日だ。財布の中に札はない。五百円も百円もない。ちなみに貯金もない。というわけで買い物ができないのだ。そこで一日プチ断食しなければならなくなった。
米が切れた。こう高くては安月給でポンポン帰るはずもない。レトルト食品やカップ麺の類もない。冷凍食品もない。冷蔵庫にハムやベーコンや牛乳や卵なんかもないし、缶詰類もない。もうすでに食ってしまったからだ。あるのは七味唐辛子と味噌だけだ。
朝食はとらないことも多いから何も苦労もなかった。が、昼前の空腹が困ったくらいに鳴るので何か食べたくなった。ほうじ茶と緑茶とブラックコーヒーをかわるがわるに飲んでどうにかやりすごす。こんな日に限ってテレビ番組はつまらない。動画を見る気にもなれない。とはいえ、無言の空間に入ればただ茫漠として佇むしかない。テレビで料理がでなさそうな番組を選んで点けっぱなしにしておいた。ただただお茶とコーヒーの熱さと腹に流れていく重みを感じるばかりで何を見たかはっきりと面白いとは言えないが、こういう日は仕方ない。夜、味噌汁を作った。ラックに乾燥ワカメがあるのを発見して、投入。丼一杯分の味噌汁が夕ご飯となった。慌てて飲んだせいで口の中を火傷した。いつもの食事時間よりかなり早く済んでしまった。
入浴もシャワーだけで済ませた。後は寝るだけだが、まだ眠気がない。ウィスキーはある。ロックにしてデスクに向かう。パソコンで動画を見る。飲みながら動画を見る。動画を見ながら飲む。どうにも今晩は酔いが回らない気がした。それでも日をまたぐ時間がもう近づくころになると、寝落ちできそうな気がしてきたのでパソコンをシャットアウトして、トイレに行った後ベッドに入った。案の定即落ちだった。
朝、体重計に乗ってみた。一キロ前日から減っていたのはプチ断食のおかげかどうかわからないけれど、食生活の見直しでもしようかなと思った出来事である。
プチ断食 金子よしふみ @fmy-knk_03_21
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます