第2話
ー桜音ー
「今日転校してきた春野桜音です!よろしくお願いします!」
今日から新しい学校生活!友達たくさん作るぞ!
「桜音ちゃんって呼んでいい?」
「ポニーテール自分でやったの?可愛い!」
挨拶が終わるとたくさんの人が話しかけてくれた。
「どんな呼び方でもいいよ!そうそう!ポニーテール自分でやったの!ありがとう!」
まぁ、そんな感じでたくさん友達もできた。放課後には私が一番青春だと思う場所、屋上に行こう!
屋上に行くと意外に誰もいなかった。
いい天気!こんな時は歌を歌おう!
「ららら~空はいつも広くて~」
すると後ろから声が聞こえた。
「良い歌声、、」
誰もいないと思っていたが、男子が1人いた。褒められて嬉しくてつい
「どうもありがとう」
そう話しかけた。その男子は驚きなからこちらに振り向いた。
とりあえず何か訊いてみることにした。
「キミはいつもここで1人なの?」
その男子は少し不機嫌そうに答えた。
「そうだよ」
そういえば名前を訊いてなかった。
「そうなんだ。名前教えてよ。私、今日転校してきたんだ」
「僕は、、奏太。春崎奏太」
キョロキョロしている奏太を見て気づいた。そうか、緊張してるのか。
「私は春野桜音。苗字が春っておそろいだね」
親しみやすいようににっこり笑って話した。そうしたらなぜかじっと見つめられた。何か変なこと言ったかな。そんなことを考えていると
「春野さん、、」
おどおどしている奏太に言った。
「私のことは桜音って呼んで!あと、奏太って呼んでいい?」
「いいよ。えっと、、桜音、、さん」
恥ずかしそうに答えてくれた。これで少しは仲良くなれたはず!
「それでよし!で?どうした?」
「さっき、今日転校してきたって言ってたけど、教室いやだったの?屋上に来る人なんて珍しいから」
なんでそんなこと訊くんだろう。もしかして奏太がそうなのかな?
「いやー、友達もできたし教室でおしゃべりしてても良かったんだけど屋上って青春な感じするじゃん!」
少し驚いた顔をしている奏太に訊いてみた。
「奏太は教室嫌い?」
「嫌いではないけど、好きでもないかな」
「どうして?友達いないの?」
直球に言いすぎたかなと反省していると
「話すくらいの友達はいるよ。でも、人に深入りしないようにしてるんだ。いなくなったら悲しいし、全部どうでもよくなるんだ」
と辛そうに笑って答えてくれた。少し気持ちがわかった。大切な人がいなくなると何もやる気がなくなってしまう。でも、私は約束したから前を向く。奏太にも前向きに考えてほしいな。
「そうなんだ。うーむ、、、どうでもいいって例えば?」
少しでも力になりたいと思って訊いてみた。
「え、、えっと、、本だって誰かが作った作り話で現実にはならないし、勉強ができたって必ず夢が叶うわけじゃないでしょう?夢が叶ったっていなくなった人が帰ってくるわけでもない」
そう言って奏太は顔を曇らせた。いつも私に言い聞かせてる考えを奏太に教えてあげよう!
「確かに本は作り話で現実にはならないけど、実際にはできないことを想像で楽しめるし、創造力がついたり漢字が得意になったりするんだよ!あと、勉強をするのは、いつか本気で夢を叶えようとした時に役にたつんだよ。失敗しても諦めずに挑戦すれば叶うと思うよ!あと、、そのいなくなった人はそれを望んでると思う?奏太自身が動かないことをそのいなくなった人のせいにしてるんだよ」
いつの間にか私の感情と混ざって強い言い方になってしまった。謝ろうと思った時、
「桜音さんにはわからないよ!僕の気持ちなんて」
奏太は怒って立ち上がった。屋上のドアに向かっていく奏太。焦って声をかけた。
「待って、奏太っ!」
でも、奏太はその場から立ち去ってしまった。明日ちゃんと謝ろう。奏太には届かなかったのかな。私の気持ち。でも、私の言い方が悪かったよね。沈んだ気持ちで家に帰った。
「ただいまー」
家の中で私の声が響く。仏壇の前に座って手を合わせた。
「ただいま。お母さん。今日はたくさんの友達ができたよ。でも、奏太っていう友達を、傷つけること言っちゃったんだ。明日謝るから大丈夫だよ。心配しないでね。お母さんと約束した通り前を向いて生きてるよ」
静かな部屋の中。時計を見るともう夕飯を作る時間だった。
「よいしょ。夕飯つくるかぁ、」
朝、早めに学校に向かった。荷物を置いて屋上に行くと案の定奏太が1人で座っていた。
「奏太!昨日は強い言い方してごめん!」
私が謝ると奏太は少し笑って言った。
「いいよ。僕も昨日強い言い方してごめんね」
仲直りできた。良かった。一安心して2人で少し話した。途中で予鈴がなったので2人で教室に戻った。クラスは別だけど。
先生の話を聞いていると来月に文化祭があることがわかった。文化祭のステージ発表は自由参加らしい。私は良いことを思いついた。放課後、屋上で奏太にある提案をした。
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