第31話 仮工房の建設と完成

 それから数ヶ月が過ぎ、村ではエイモンドのための仮の工房を作る作業が、村人たちの協力のもと、着々と進んでいました。木材を運び、土を固め、屋根を葺く作業には、ザックをはじめとする村の男たちが中心となって力を貸していました。

ジュンナやミーニャも、運びやすい小さな木材を運んだり、飲み物を差し入れたりして、できる範囲で手伝っていました。


 エイモンド自身も、村人たちと一緒に汗を流しながら、工房の完成に向けて尽力していました。

 彼は、ジュンナから教わった技術や知識を自分なりに改良したガラス作りの技術を、この村で活かしたいと強く願っていました。仮の工房とはいえ、彼は熱心に設備の配置や必要な道具の準備を進めていました。


 リリカおばあちゃんやフローラをはじめとする女性たちは、作業をする人たちのために、温かい食事や飲み物を毎日用意していました。村全体が、エイモンドの工房作りという一つの目標に向かって、力を合わせているようでした。


 それから、しばらくはジュンナがエイモンドにガラス作りの基礎を教えながら、エイモンドの仮の工房を作る作業が続きました。エイモンドはガラスに関する知識は全くありませんでしたが、ジュンナの熱心な指導に真剣に耳を傾け、彼女の指示に従って工房の建設に励んでいました。


 木材を運び、土を固め、炉を作るための特別な耐火レンガを積む作業には、ザックをはじめとする村の男たちが中心となって力を貸していました。ジュンナも、エイモンドに必要な材料を準備したり、設計図を見ながら指示を出したりと、工房作りの中心的な役割を担っていました。ミーニャも、ジュンナの助手として、できる範囲で手伝っていました。


 エイモンドは、ジュンナから教わるガラス作りの新しい世界に、日々驚きと感動を覚えていました。彼はもともと手先が器用で、鍛冶の技術もあったため、ジュンナの教えをすぐに吸収し、工房の設備も彼女の理想とする形に近づけていきました。


 村全体が、ジュンナの知識とエイモンドの技術によって生まれるであろう、新しいガラス製品への期待に胸を膨らませていました。


 ミチルは、頻繁に工房の様子を見に来て、ジュンナにガラス細工について熱心に質問していました。彼女は、ジュンナが作ったガラス瓶の美しさに魅せられて以来、自分もガラスで何か美しいものを作りたいと強く願っていました。ジュンナは、ミチルの意欲を嬉しく思い、時間を見つけては自分の知識を丁寧に教えていました。エイモンドもまた、ジュンナとミチルのやり取りを微笑ましく見守っていました。


そして、ついに、村人たちの協力と、ジュンナの指導、そしてエイモンドの努力によって、仮の工房が完成しました。新しく建てられた工房は、木と土で作られた簡素な建物ですが、中にはジュンナの指示に基づいて作られた特別な炉や作業台が設置されています。窓からは柔らかな光が差し込み、新しいものを作る期待感に満ちた空間となりました。


完成した工房を前に、ジュンナとエイモンドは達成感に満ちた表情で見つめ合いました。村人たちも集まり、自分たちの手で作られた工房の完成を祝福していました。特に、ジュンナがこの小さな村で初めてガラスを作るという試みに、大きな期待が寄せられていました。

「さあ、エイモンドさん、いよいよ始めましょうか」と、ジュンナは少し緊張した面持ちで言いました。

エイモンドは力強く頷きました。「はい、ジュンナさん。あなたの知識と私の技術で、きっと素晴らしいものが作れますね。」

こうして、ジュンナとエイモンドは、村の期待を背負いながら、新しい工房でのガラス作りをスタートさせることになったのです。


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