第26話 パンケーキの試作
重曹を手に入れたジュンナは、急いで家に帰り、フローラお母さんにそのことを伝えました。
「お母さん!重曹、ザックおじさんに分けてもらえたよ!」
ジュンナが小さな袋を見せると、フローラも目を輝かせました。「まあ、よかったわね、ジュンナ!さっそくパンケーキを作ってみましょう!」
二人は早速、パンケーキの試作に取り掛かりました。フローラから教わった分量で生地を作り、そこにリリカおばあちゃんから貰った大切な麦芽糖を加えて混ぜました。甘い香りが台所に広がり、二人の期待も高まります。
熱したフライパンに生地を小さな円状に落とし、焼き始めました。しかし、しばらくすると、二人は首を傾げました。「あれ?なんだか、パンケーキみたいに膨らまないね…」
焼き上がった生地は、薄くて平ら。食べてみると、パンケーキのようなふわふわした食感ではなく、しっとりとしていて、なんだか丸くて平たいお菓子みたいでした。
「うーん、これはこれで美味しいけど、私たちが作りたかったパンケーキとはちょっと違うわね」とフローラが言いました。
ジュンナも同感でした。でも、この食感…どこかで何かを思い出したような気がしました。「そうだ!」と、彼女は手を叩きました。「この丸くて平たい生地、二つで甘い餡を挟んだら美味しいんじゃないかな?リリカおばあちゃんの作ってくれた飴みたいに、素朴な甘さの餡が合いそう!」
フローラは少し不思議そうな顔をしました。「丸くて平たい生地で餡を挟むの?どんなお菓子になるのかしら?」
ジュンナは「うーん、名前は分からないけど、きっと美味しいと思うんだ!そうだ、リリカおばあちゃんが畑で採れたえんどう豆を甘く煮て食べるって言ってたような…あれを潰して餡にしてみようよ!」
二人は早速、茹でてあった鮮やかな緑色のえんどう豆を潰して、少しハチミツと麦芽糖を加えて煮てみました。最初は戸惑いながらも、丁寧にアクを取りながら煮詰めていくと、だんだんと美しい緑色の、優しい甘さの餡が出来上がりました。
そして、焼き上げた丸くて平たい生地で、冷ました緑色のえんどう豆の餡を挟んでみました。
「わあ!なんだか不思議な形だけど、綺麗な緑色の餡が美味しそうね!」フローラは興味津々です。ジュンナは、その丸くて少し膨らんだ形を見て、心の中で思った。「この形、どこかで見たことがあるような…そうだ、あの青い猫型ロボットの大好物、どら焼きに似てる!」
カメレオンのエレナからも、食べたそうな気持ちが伝わったので、ジュンナは肩に乗っていたエレナにも、ほんの少しだけ緑色の餡をつけた生地を差し出してみました。エレナは小さな舌をぺろりと出してそれを食べると、ぱっと体が明るいオレンジ色に変わりました。いつもはゆっくりと動くエレナが、もう一口欲しそうにジュンナの指先を見つめて、体をちょこちょこと動かしています。「美味しいんだね、エレナも!」ジュンナは嬉しくなりました。
味見をしてみると、素朴で優しい甘さが口の中に広がり、フローラも「あら、美味しいわね!この平たい生地と、優しい甘さの緑色の餡がよく合ってるわ」と満足そうに頷きました。
「これなら、みんなにも喜んでもらえるかもしれない!」ジュンナは嬉しくなりました。「明後日の集まりは午後からだから、午前中はミーニャとミーニャのおばさん、リリカおばあちゃんとミチルお姉さんにも手伝ってもらって、この平たいお菓子をみんなで作るのはどうかな?」
フローラも笑顔で頷きました。「まあ、素敵ね!リリカおばあちゃん達もきっと喜んで手伝ってくれるわ。みんなで力を合わせれば、もっとたくさん作れるし、きっと楽しいでしょうね!」
こうして、重曹を手に入れたジュンナは、フローラと共に試作した結果、麦芽糖を使ったパンケーキ作りから一転、名前はまだないけれど、丸くて平たい生地で緑色のえんどう豆の餡を挟んだ新しいお菓子作りに挑戦することになったのでした。そして、明後日に迫った集まりにはミーニャとミーニャのおばさん、リリカおばあちゃんとミチルお姉さんの協力も得て、みんなでその不思議だけど美味しいお菓子作りを楽しむ計画を立て始めたのです。
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