第11話 ミーニャ姉弟とのお菓子作り
ジュンナがガラス容器の整理をしていると、庭先から元気な声が聞こえてきた。
「ジュンナお姉ちゃーん!遊ぼー!」
隣に住むミーニャとマークの姉弟だ。最近、鏡作りの設計図に夢中で、あまり一緒に遊んであげられていなかったことをジュンナは思い出した。
「ごめんね、ミーニャ、マーク!今行くね!」
ジュンナは作業を中断し、二人の元へ駆け寄った。ミーニャは花柄のワンピース、マークは泥だらけの半ズボンで、目を輝かせている。
「ねえ、ジュンナお姉ちゃん!今日は何して遊ぶ?」マークがわくわくした様子で尋ねた。
「そうねえ…あ、そうだ!最近、新しいお菓子作りに挑戦してるんだけど、一緒に作ってみない?」ジュンナは提案した。
「お菓子!?食べるの!?」ミーニャの目がキラキラと輝く。
「うん!でもね、このお菓子、お砂糖は使わないんだ」
マークは首を傾げた。「えー、お砂糖なしで美味しいの?」
「それがね、これがとっても美味しいんだよ!それに、お砂糖なしでも甘くて、体にもいいんだ」ジュンナはにっこり笑った。
ジュンナは二人に、最近錬金術で作れるようになったガラスの保存容器と、中に作ったばかりの干しブドウとドライフルーツを見せた。
「これね、私が作ったガラスの容器に入ってるんだけど、これを使ってお菓子を作るんだ」
ミーニャとマークは、透明なガラス容器に興味津々だ。
「わー、きれい!これ、ジュンナお姉ちゃんが作ったの!?」ミーニャが驚きの声を上げた。
「そうだよ。この前、工芸スキルのレベルが上がったら、錬金術っていうのが使えるようになってね。これでガラスも作れるようになったんだ」ジュンナは得意げに説明した。
「すごい!ジュンナ姉ちゃん、魔法使いみたい!」マークが目を丸くする。
「ふふ、まあ、そんな感じかな?さあ、お菓子作りを始めようか!」
ジュンナは二人を家の中に招き入れ、キッチンへと向かった。
「今日はね、干しブドウとドライフルーツと、あとはナッツとオートミールを使って、エナジーバーっていう携帯食みたいなのを作るよ」
ジュンナは材料をテーブルに並べた。エレナもジュンナの肩からテーブルに降り立ち、興味深そうに材料を観察している。
「まずは、干しブドウとドライフルーツを細かく刻んでいくね」
ジュンナが包丁で刻み始めると、ミーニャとマークも手伝いたそうに身を乗り出した。
「私もやりたい!」ミーニャが声を上げた。
「じゃあ、ミーニャはドライフルーツを潰すのを手伝ってくれる?マークは、ナッツを叩いて細かくするのを手伝ってくれるかな?」
ジュンナは、木製のすり鉢とすりこ木を二人に手渡し、安全な方法で作業を指示した。ミーニャは楽しそうにドライフルーツを潰し、マークも力いっぱいナッツを叩き始めた。
「わー、いい匂い!」マークが砕けたナッツの香りを嗅いで言った。
すべての材料が準備できると、ジュンナはそれらを大きなボウルに入れ、混ぜ始めた。
「これをね、ぎゅっと混ぜて、固めるんだ。こうすると、お砂糖なしでも甘くて、栄養満点のお菓子になるんだよ」
ジュンナは混ぜた生地を平らな板の上に広げ、四角く形を整えた。
「これをしばらく冷やしたら出来上がり!ちょっと待っててね」
冷やしている間、ジュンナはミーニャとマークに、最近覚えた錬金術の話や、鏡の設計図のことなどを楽しそうに話して聞かせた。エレナはジュンナの肩で色の変化を楽しみながら、二人の話を聞いていた。
しばらくして、冷え固まったお菓子をジュンナが切り分けた。
「はい、どうぞ!」
ミーニャとマークは、ジュンナから手渡されたお菓子を一口食べた。
「美味しい!甘い!」ミーニャが目を丸くして言った。
「本当に!お砂糖入ってないのに、なんでこんなに甘いの?」マークも驚いている。
「それはね、干しブドウやドライフルーツに元々甘さがぎゅっと詰まっているからなんだよ。それに、よく噛むと甘みがもっと感じられるんだ」
二人は夢中でお菓子を食べ進めた。ジュンナは、二人が美味しそうに食べてくれるのが嬉しくて、自然と笑顔になった。
「ジュンナお姉ちゃん、すごいね!また作ってくれる?」ミーニャがおかわりをねだった。
「もちろん!またいつでも一緒に作ろうね」
太陽が傾き始め、夕焼け空が広がる頃、ミーニャとマークは名残惜しそうに家へと帰っていった。ジュンナは、また一緒に遊べる約束をして、笑顔で二人を見送った。
ザックが帰ってくるまでに、もっと色々なものを作って、二人を驚かせたいな、とジュンナは心に誓った。そして、いつかこの錬金術を使って、もっと美味しいお菓子を作ってあげよう、とも思った。
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