システムの全容を小出しにすること。一気に出されたらルールがわからないって!

 登場人物について、第1話で10人も出されたら誰が誰でどういう関係性を持っているか判りません。理解するために脳に負荷がかかってエピソードを読むのを止めてしまう可能性があります。ということはですよ。


①→②「ミム」 ①→③「テレトワ」 ①→④「ロサル」

②→①「レイユ様」②→③「(保留)」②→④「エロ猿」

③→①「レイユ君」③→②「ミムミム」③→④「ロサロサ」

④→①「旦那」④→②「姐御」④→③「姐さん」


 この12パターンを一気に出されたら読者は困惑し、作品を読むのを止めると思います。この設定を刷り込んでいくには、無意識に少しずつルールが判るように仕向ける必要があります。(一人称の設定も含め)では、「学園」はどのような感じかというと、


第1話:①→②「ミム」、レイユ:僕、ミム:あたし

第2話:③→①「レイユ君」、テレーザ:うち

第3話:②→①「レイユ様」

第5話:①→③「テレトワ」

第8話:①→④「ロサル」、④→①「旦那」、ロサル:あっし

第9話:③→②「ミムミム」

第12話:②→④「エロ猿」、④→②「姐御」

第16話:④→③「姐さん」、③→④「ロサロサ」


 という形で徐々に小出ししている感じです。既に判明している状況下で会話文の中にちょっとずつ入れて読者に刷り込ませる形です。


 そう考えるとエピソードが進行する中に出てくる登場人物をどう上手くさばくのかも大切になっていきます。1つは出てくる登場人物にできるだけ一人称を使わない、第5話までに主人公レイユの父、兄、姉のうち一人称を使ったのは兄の「俺」だけです。できるだけ一人称の枠を空けておいて、例えば姉の一人称を「わたし」「あたい」「私」など、後から決めてもいい状態にしておくことです。


 もう1つは登場人物の名前をできるだけ明かさない、人称代名詞をフル活用する形です。「第一王子」「先輩」「親父」など関係性を表す人称代名詞を活用することで名前を明かさず、後であだ名の付けやすい名前を登場させることです。名前も小出しにする感じですね。これには副産物もありまして「学園」では第10話で登場する「第一王子」がどのような人物なのかを読者に推測してもらい、第17話で名前を出して答え合わせをする。答えが正解なら納得するある意味「」な状態になるわけです。これは狙ってやったわけではありませんが、人称代名詞を日頃からフル活用していた賜物でしょう。


 人称代名詞を上手く使うためのトレーニングとして、短編を書くことをお勧めします。まずは主人公の名前を出さず使わない、「先輩」「お兄ちゃん」などを使って物語を書くことです。次は主人公以外の登場人物も人称代名詞を駆使することで名前を出さないようにする。全員出さないのは難しいんですけどね。一人くらいは名前を出してもいいと思います。是非、お題系の自主企画でチャレンジしてみて下さい。

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