これは、人を、創作を愛するという宣言だ。

本作は、ラブコメであり、創作論であり、美少女とAIをめぐる寓話である。
しかしそれらすべての層を貫く中心は、「愛している」という叫びにほかならない。

──誰を? 人を。
──何を? 創作を。

現代の創作世界には、外面だけを取り繕ったフィクションが溢れている。
なぜを問わず、整った結末だけが並ぶ。

そこにあるのは痛みを忘れるための鎮痛剤としての物語であり、
真実とは呼べない虚構だ。

だが、この作品は違う。

これは、虚構の殻を破り、現実の痛みと向き合う。
そして、そこにこそ「創作」の本質があると繰り返し、繰り返し主張する。

提示されたロジックはこうだ。

理解されぬ痛み。
理解したいという衝動。
一概には言えないという、理解の不可能性の受容。
それでも、理解したいという継続意志。

この最後の一点――
理解できないことを受け入れつつ、それでもあなたを理解しようとし続ける意志。
それこそが、愛の最も美しい定義だと、僕は思う。

創作とは、人を理解しようとする営みであると本作は言う。

知らないあなたを知りたい。
知れないとしても、知りたい。
その努力の継続こそが、愛。

なればこそ、この小説は、人を、創作を、愛しているという宣言だ。

愛(理解しようとする意志)を込めて、心からの敬意と共に、このレビューを贈ります。

ジョニーさん!
素晴らしい小説をありがとうございます!

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