第9話


必中ファースト


三枝がそう呟く。


三枝が放ったこの魔力弾。

これは三段階に分かれていて、

ファースト、セカンド、サードと先に進むほど、スピードが遅くなる。

その代わり、全ての弾が当たると、

"敵を一切動けなくする"


この魔力弾というアーツ。

これはハンターであれば誰でも取得できるアーツである。

しかし、敵を一切動けなくするというのがいくら魅力的でも、当てることができないため、使用する人は極めて少ない。

そのため世間一般ではハズレアーツと呼ばれている。


だが三枝はちがう。

三枝の「百花繚乱」はどれだけ遅い弾でも、範囲内にいる敵なら“必ずあたる”

三枝美琴という怪物はここで、

最悪のシナジーを生み出してしまっているのだ。

このシナジーこそが、三枝美琴を怪物とたらしめる1つの要因である。

救いは、魔力弾を1つうつには1分のクールタイムが必要なことだけ。

ここで圭吾は知らないところで、あと2分のタイムリミットを設けられてしまった。


『マスター。

状況解析の結果、マスターはまだ実践経験が乏しいため、直接戦闘力が相手より低いと思われます。

三枝美琴を直接戦闘の範囲に近づかせないために設置型罠オートスナイプの設置を推奨します。

設置必要MPは3、発動した際の必要MPは2です。』


設置型罠オートスナイプ

分かった。設置する。


『了解しました。設置位置はどうしますか?』


うーん。お前に任せるよ。


『了解しました。

最適解と思われる、マスターの2m前に設置しました。

設置が完了するとマスターにだけ青白く光って見えます。』


分かった。ありがとう。

ここからは戦闘中のアシストを頼む。


『了解しました。』



「ねえ、そこになんか置いた?」


三枝が、そう圭吾に問いかける。


ヒュッ


圭吾が驚いて、息を吸い込む音が聞こえる。


『想定外の事態が発生。

再確認します。 再確認完了。

三枝 琴音が罠感知系のスキル・アーツを

取得している可能性は"0%"です。』


は?


「いやー、スキルとか持ってないけど、

分かるんだよね。この"眼"で」


そういって三枝は一瞬、片手を左目にかざす。

手をかざされた左目は、赤く光っていた。


「私、左目が慧眼っていう特殊体質だから。」







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