第2話・気になる商品
【OPEN10時〜CLOSE22時】
出入口の自動ドアには、そう表記してある。
(この店は24時間じゃないんだな)
山科は『ユーラインマート』になぜだか興味が湧いて、店の中に入っていった。
◆
入店音が鳴る───
某コンビニの入店音にそっくりなメロディーが流れ、山科は噴き出した。
「駄目だろ、これwww」
思わず一言、本音が漏れた。
「いらっしゃいませ!」
レジカウンター内にいる男性店員が、山科の方を見て元気に挨拶した。
店員の容姿は、くりっとした目が特徴的で、山科に負けず劣らず小太りだった。
◆
彼は店内を見て回る。
客は山科が1人だけのようで、その分快適にゆったりと買い物を楽しめた。
(この店、面白いな)
定番商品以外に、海外の珍しい商品や今ではなかなか見ない商品まで置いてある。
山科はお菓子コーナーの棚に置いてあるポテトチップスを手に取った。
(中学のときに友達とハマってやつじゃん! これ今も売ってたんだ!)
山科はテンションが上がって、ついカゴの中にポテトチップスを入れてしまった。
(ヤバい。また太りそうだ……)
彼は罪悪感を感じながらも、見たことがない海外のエナジードリンクや、小学校のときによく食べた駄菓子のソースせんべいなど、気になる物をどんどんカゴに入れていった。
◆
それらの商品が入ったカゴを、山科はレジカウンターに置いた。
ユーラインマートは自動レジでは無い。
(最近では珍しいな)
と、山科は感じた。
男性店員が1点、1点、と商品をスキャンしていく。
「レジ袋と箸もお願いします」
と、山科は店員に伝えたあと、店員の名札に目をやった。
『駒野』という漢字で記されている。
(こまのさんか……)
山科の脳内には『泣いているサッカー選手』の顔が浮かんだ。
「2972円でございます」
レジ計上が終わり、駒野が合計金額を言ったタイミングで、山科はレジ横の商品が気になった。
「あの、これ何のトレカですか? 初めて見たんですが」
「そちらの商品ですか。『ライフタイム・カード』です。ぼくも正直よく分からないんですが、うちのオーナーがトレカ好きで色々と珍しい商品を見つけて来るんですよ」
山科は『ライフタイム・カード』を手に取り確認してみた。
ハイハイをしている赤ちゃんのキャラクターが印象的なパッケージだ。
5枚入りで、税抜き300円。
【世界に1枚しかないあなただけのカード!】
と、キャッチコピーが書かれてある。
表面(おもてめん)の下方には【第1弾・自分編】、裏面には【全???種類】と、表記されている。
(結局全部で何種類なんだよ……)
「あの、お客様……そちら、購入されますか?」
(そういえば会計が済んでいなかった……)
山科が圧を感じて後ろを見ると、いつの間にか3人の客が並んでいた。
「買います!」
とっさにそう言った山科は、『ライフタイム・カード』も他商品と一緒に購入した。
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