第25話 整形依存症

整形依存症…

それはルッキズム至上主義に裏付けされた呪いの病。

可愛くなりたい、恰好良くなりたい、このような人間として当然の欲望は、エスカレートしすぎると、時に人を不幸にする。

もちろん時代によって美の定義は異なる。

よってこの時代の美男美女が400年前においても通用する容姿だとは限らない。

にもかかわらず人間は現世評価に異常な拘りを見せる。

まあ確かに見た目が良い方が得だし、気分良く過ごしたい気持ちは分からないでもない。

しかし、何事ものめり込みすぎるのは良くない。

整形依存に陥り自己破産、顔面崩壊を起こす人間はこの時代にも一定数は存在した。今回、ゆなのもとに診察に来た、杉浦春奈という女性も、そのような病に傾倒しかけていた。

傍目から見れば十分綺麗なのだが、それでも彼女は自身が不細工だと主張する。ゆなはいつもより毅然とした態度で言った。

「あなたは、傍目から見れば十分な容姿です。整形など必要ありません。これ以上顔にメスを入れれば、いずれ崩壊しますよ。」

いつも通り、患者の脳を上書きする。

春奈は彼女に納得させられて帰っていった。

ゆなは生まれつき容姿が良い部類だったため、顔にコンプレックスを抱いたことはなかった。

しいて言えば実年齢より幼く見えるのが引っかかる程度だ。彼女は、そのような人間がいることを初めて知った。

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