第14話 運命の人
「今日は俺が奢るから、田村先生は支払いしなくても良いよ。」
「そんな気を使ってもらわなくても良いわ。割り勘にしよ。それより、あなた、私の運命の人?」
ゆなは子どものような動作で小首を傾げる。
「運命の人?それはどういう意味だい?」
「小さいころ、おばあちゃんに言われたのよ。今は辛いかもしれないけど、あなたは可愛いからいずれすべてを知った上で愛してくれる人が現れるよって…」
健斗は思わず口に含んだ水を噴き出しそうになった。
「いや、それは違うと思うぞ。確かに俺はまだ結婚してないけどな。」
「あなた、子ども欲しい?」
「子ども?ああ、子どもね。俺には育てられる自信はないな。」
「そう、やっぱりあなた運命の人よ。私、こんな身体じゃ、子ども産めないもの。あなた、私と一緒に暮らしてくれない?」
健斗は少し沈黙したあとに、言った。
「分かった。少し考える時間をくれ。」
幼少期から両親に虐待を受けていたゆなにとっては、祖父母だけが唯一の味方だった。祖母は彼女の身体のことを分かった上で、それでも運命の人が現れると言ってくれたのだ。
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