行き当たりばったりSS No.1

高崎橙里

第1話

――なんて事ない、いつもの私達の日常。


「ねー璃夢!見た?サニーロキャラクターズのコラボドリンクの告知。ゆめかわすぎん?こんなん初日に飲みに行くしかないっしょ」


「うん、見たよ。可愛かったなー、マミィちゃんのいちごみるく」


 昼下がりの学校。暖かな日差しの中で、私は友人と他愛ないお喋りをしていた。


「璃夢はマミィ推しだもんねー。ウチは断然プリルくん!プリン丸ごと一個入りドリンクは強いわ。本当にそれドリンク枠なんか?っていう気はするけど」


 キラキラと目を輝かせていたと思ったら、すぐに『はて?』の顔になる。傾げた首の動きに合わせて、耳に掛けていた一房のオレンジメッシュが、黒髪の上を滑る。


「蜜柑ちゃん、本当にプリルくん好きだもんね」


 私がそう言うと、蜜柑ちゃんは『よくぞ言ってくれた!』と言わんばかりににこにこしながら、自分のリュックを引っ張り上げて掲げた。


「もっちろん!だってほら、見てよこの学校リュック。プリルくんグッズ付きすぎて最早痛バよ?」


 蜜柑ちゃんの大きなリュックには、ぬいぐるみやアクリルキーホルダー、大小様々な缶バッジなど、たくさんの飾りが付いている。それらは、チャックの所に付いた小さなみかんのキーホルダーを除けば、全てプリルくん一色だ。

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