異世界マヨネーズ~誤字コメディ、オマージュ版~
江戸バイオ
第1話
「マヨネーズの 抗生物質ガ 送ラレ手 キマシタ」
異世界にやってきて数年。遂に日本のネットとの交信を成功させた俺は、早速だがマヨネーズの作り方を調べた。
最初にやることがそれかって?いいか?日本人は食に対する欲求だけは我慢が出来ないんだ。ブラックジョークにもあるだろ?日本人を怒らせたければ不味いもの食わせろって。
だから、もう何年も口にしていない万能にして至高の卓上調味料。マヨネーズを作りたくなったんだ。
まだ漢字変換が苦手な交信妖精だが意味が通じりゃいいのよ。抗生物質は構成物質だな。さてじゃあ材料を教えてもらおうかな?
塩 王子 湯 落ち葉 名声 素
んんんんんん????????
なんだこれ?文字化けにしてもアレだろ。変だろ。落ち着いて読み解く必要があるな。
まず「塩」
うん、問題ないな。マヨネーズは塩味があった。塩は必要だろう。寧ろ教えてくれなくても分かるところだ。
次「王子」
カニバな感じは要らないんだぜ?
しかしこれはなんとなくだが分かるぜ。玉子だろ?ふふっ、俺を舐めて貰っちゃ困るってもんよ。
こんな古典的な書き間違いはな。日本のネットとの交信を成功させるために何度も経験してきてんだよっ!次だ。
「湯」
お湯か?マヨネーズにお湯っているのか。でもおかしいよな?レシピなんかだとこういう時は水って書かないか?
工程の方で「水を鍋に入れ、火にかけて沸騰させます」とか書いてあるアレだろ?
でもなぁ、「ゆ」「とう」うーん。とうってなんかあったか?糖!そうか、甘みを感じることがあったがアレは砂糖だったのか!
入れ過ぎはしないんだろうな。実際に作る時には注意しよう。ここまでは順調じゃないか!ハイ次。
「落ち葉」
はい?いやいやいや!?喰いもんじゃねぇだろ?落ち葉??コレは一体どういうことだ?
それともこの数年で食える落ち葉が見つかったのか?違う、落ち着け!
そもそもマヨネーズが作られた時代の落ち葉は喰いもんじゃねぇ。はずだ。あれ?俺が無知なのか?
ふぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
いや落ち葉はそこそこパンチあったね。一瞬混乱したよ。
コレはアレだね、読み方だね。「おち」「らく」。「よう」「は」「ば」「ぱ」。
らく、ち、よう。
らくちょう、落丁……か?上手く交信できなかった、ってことか?うーん。残念だが……
一個くらい材料足りなくても何とかなるか?カレーに人参なくても大丈夫だもんな。
しかしこの落丁がカレーにおけるカレー粉だったら致命傷だな。コレはもう運を天に任すしかない。
それにこの先を読み解けばそこから分かるかもしれない。なーに。何のヒントもない状態からは進んでいるはずだ。
まぁまだ塩と砂糖と玉子しか判明してないがな。ゆで卵ならイケるな。ハードボイルドに行こうぜ?
まあいい次だ。
「名声」
えっ!?マヨネーズって作るのに名声がいるの!?初耳なんだけど?
庶民が作っちゃいけない調味料なの?上級国民専用なの?貴族御用達なの?
ふぅーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。
おいおい、一体俺はどうしちまったんだ?この程度の困難はここまでに沢山乗り越えて来たじゃないか!
この程度で慌てるんじゃない。これも何かあるはずだ。
えーっと。「めい」「みょう」「な」他にもあったか?ない、と思う。次が「せい」「こえ」他は……「こわ」こわいろ、とか言うもんな。
うーーーーーーーーん、分からん。コレは飛ばそう。最後だ。だって次が……
「素」
あったら苦労しねぇええ!!!!!!!!!!!!
これはアレか?自慢か?お前ら日本人は〇〇の素で簡単に〇〇作れますとか大好きだもんな!!
俺も日本人だけど異世界移住歴数年ともなるとこんな文句も出るってもんよ。
あー、もう分かったよ。分かっちゃったよ俺。
落丁があろうが名声の意味が分からなかろうが同じだったんだ。
だって材料にマヨネーズの素だもん。作らせる気ねぇんだもん。
いいよ。お前がそのつもりならコッチだって考えがある。
異世界なりのやり方ってもんがな!!
そして俺はギルドで依頼をこなしてSSS級冒険者になり。SSS級として王族絡みの事件を解決して王族にも顔が利くようになり。
王族しか入れないとある山に特別に採取に入りマヨの実を発見し。
塩と砂糖と玉子とマヨの実から遂にマヨネーズを作ったのだった。
やっぱり材料一個くらい足んなくても何とかなるな。本当ならもう少し旨いのかもしれないが……
しかし本当に名声が必要だったとはね。てかなんで地球の情報で異世界ではマヨネーズ作るのに名声が必要って分かったんだ?
まいっか。交信は意味がわかりゃいいし。飯は美味けりゃいいんだからな――
「マヨネーズの構成物質が送られてきました。塩、玉子、落花生油、酢」
男は送り直されている交信妖精からのメッセージに気付くことはなかった。
しかし、奇跡的に油と酢の要素を持つマヨの実を見つけることで何とかなったのだ!
砂糖を追加しているあたり、マヨネーズもこの男自身も「甘い」のだが。
おあとがよろしいようで
異世界マヨネーズ~誤字コメディ、オマージュ版~ 江戸バイオ @edobaio
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