愛を詩う
小田虹里
第1話 愛を叫ぶ
そんな眼で俺を見るな。
穢れた物を見るかのように、
忌み嫌うように、憎しみを浮かべ、
離れていく。
俺がそこまで憎いのか。
旦那にもアンタにも似なかった俺が、
それほど醜いか。
誰に似たのかなんて、俺にもわからない。
俺は誰の子なんだ。
誰に似ればよかった?
誰に似れば、俺は愛されたんだ。
俺は誰に、許しを請えばいい?
泣いてばかりのアンタを、
慰めることもできない。
アンタがやつれていく姿をみて、
俺の存在は生きているだけで罪なのだと、
凍てつく刃を突きつけられる。
泣きたいのは俺だって同じだ。
苦い感情を、アンタみたいに吐き出したい。
それが許されない俺は、
このまま死ぬまで孤独なのか。
愛を知らない俺が、
誰かを愛せるはずもない。
誰もが敵に見え、
誰もが俺から離れていく。
愛されたい……。
本当の俺は、愛されたい。
愛する資格も、愛される資格もないのに、
無駄な希望を捨てられない。
誰にも似ていない俺は、
誰にも受け入れられないのだろうか。
誰か。
俺に、愛を教えてくれ。
誰か。
俺を、愛してくれ。
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