正義の味方

AIRO

正義の味方

私は、昔からヒーローが大好きだった。

画面の向こうで繰り広げられる戦いに胸を躍らせた。

友達と遊ぶ時も、誰が、どの色を担当するか取り合いになっているのを傍に見ていた。


一緒に遊ばなかったのかって?

遊んだよ。私はいつも敵側。

そう、悪者だ。


虐められていたからではない。

私は、進んで自ら悪役を買って出ている。

ヒーローを見ているのが好きだったから。


子供の時、ヒーローはカッコよくて、強くて、みんなを助けて、憧れの存在だった。

大人になったら、正義って一体なんなんだろうと考えるようになった。

困っている人を助けるのがヒーロー?

悪者を倒すのがヒーロー?

じゃあ、悪者がいなかったらヒーローは存在しないのだろうか?


私の周りには、良い人がいっぱいいた。

優しい、頼り甲斐がある、カッコいい、面白い……

色々な人がいた。


良い人が良い人に見えるのは、悪い人がいるからだろうか。

悪い人が居なければ、良い人は普通の人なのだろうか。


私の好きなヒーローは、悪者がいない世界になったら居なくなってしまうのだろうか?


それは困る。


正義の輝かしい光は、闇の中にあるから輝いて見える。

暗い世界を、明るく照らしてくれるからこそのヒーローだ。


僕は悪者になろう。カッコいいヒーローを見続けられるために。

光が、眩しく感じるくらいの、暗い、暗い闇を作ろう。

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正義の味方 AIRO @airo210

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