魔法のカード
レッドハーブ
魔法のカード
カーテンから差し込む朝日がまぶしかった。
今日は日曜日だ。とはいっても家には僕一人。
(とりあえず朝ごはん食べよう…)
冷蔵庫には作りおきのチャーハン。
チンして食べてね!ということだろう。
書き置きなんてなくてもわかる。
来年から中学生になるんだから…。
「…ん? なんだこれ?」
台所のテーブルには一枚のカードがあった。
カードの絵柄は…流行りのちいさくてかわいいマスコットキャラだった。僕の好きなキャラだ。
これは…僕のために置いていったのかな。
(もしかして…誕生日プレゼント…?)
そういえば、買い物や外食するときに親はお金を払わずにカードを使う。他の人はお金を出して買い物をするのに…。
あれは魔法のカード、なのかな…?
(母さんって…特権階級の人なのかな?)
カードの表面には文字や数字が書いてあった。
…間違いない!あの魔法のカードだ!!
これをかざせばなんでも買えるんだ!
嬉しくなった僕は最寄りのスーパーで好きなお菓子をありったけカゴに入れてセルフレジに並んだ。
【暗証番号の入力をお願いします】
父さんの言葉を思い出した。
(暗証番号ってのはな、このカードは自分の物ってことを証明する番号のことだ。大体の人は誕生日を番号にする人が多い。忘れないからな!)
ピ、ピ、ピ…ピー!
番号は僕の誕生日だった…!
(間違いない…。このカードは僕のカードだ…!)
なんてスゴいカードだ!
機械に当てるだけでなんでも買えちゃう!
今日はとてもいい日だ…!
ルンルン気分で家に帰った。
家でお菓子をたらふく食べた僕は、ふと父のパソコンに目を向けた。
(魔法のカードってネットでも使えるのかな?)
僕は父さんの言葉をまた思い出した。
(いいか?気になることは自分で調べるんだ。人にばかり聞いてはいかんぞ。調べものはこのパソコンを使っていいからな!)
よし!
カチカチカチ…なんだ意外と簡単じゃないか。
魔法のカードはネットでも使用可能だった。
やり方を覚えた僕はいろんな物を買った。
父さんと母さんには高級お肉セット。
じいちゃんとばあちゃんには高級お茶セット。
(日頃お世話になってるし、これくらいはね…)
…値段?見てないよ。だってこのカードがあればなんでも買えるんだから。そんなのを気にしても意味がないじゃないか。
しかし、わからないなぁ…。
こんな便利なカードがあるのに…
なんで父さんたちは働いているんだろう…?
それから数日後…。
僕はリビングで正座をさせられている。
そして父さんに衝撃の事実を告げられた。
「これはな…魔法のカードじゃない。クレジットカードっていうんだよ!!」
魔法のカード レッドハーブ @Red-herb
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