創作周りの嘘の話
ぽんぽん丸
書き出しの嘘
『書き出しは情景描写で読者を引き込め』
これは嘘です。
正確に言うと2つがゴッチャになってます。「物語の始まりは読者を引き込め」
「シーンの始まりは情景描写」です。
物語の始まりには、情景描写に限らずその物語で一番魅力的なことを書いてください。
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。
日本で一番有名な書き出しは情景描写ですね。ですがこの一文は日常の責任から解放される旅先、長く暗い場所を抜けたこと、そこは冷たく美しい雪国、という物語のテーマの示唆を多分に含みながらも簡潔だからいいです。
雪国の書き出しは物語のテーマを示唆してるからいいんです。本当にすべきは情景描写ではなくて私達の物語のおもしろさを示唆することです。
面倒だったら結末を先に言いましょう。
「弾丸が頭部を貫き、紅葉が色づくより少し早く、並木道を赤く染めてしまう。遂に私は復讐を、彼を撃った。」
「秋風は冬を知らせている。夕方だというのに日はもう落ちた。一人寒々歩く。まだ紅葉はない。これからだ。」
同じ復讐をする話の書き出です。どちらが続きを読みたいでしょうか?
面倒なら結末の一番美味しいところを少し味見してもらいましょう。結末以外が美味しいならそこでもいいかもです。
もちろんそれが情景描写かもしれない、いやセリフがいいのかもしれない、物語が示す人生哲学なのかも、キャラクターの可愛らしさかも。私達の得意なとこ、物語の魅力的なとこからはじめましょう。
とにかくちゃんと一番美味しいところを書くというのが本当です。ここ見て!!いいでしょ!!です。なので書き出しは情景はだいたい嘘です。
なぜこんな嘘がまかり通っているのかというと「シーンの始まりは情景描写」というホントとごっちゃになってるからです。
場面が切り替わりました。学校から家に移動します。情景描写した方がいいです。
そこで何をするにしても周囲の状況、時間経過、伝えたほうがいいです。
書く側が想像できていても、読む側はアイマスクつけたまま話を聞いてるみたいなことが起きます。
書かないと見えません。視界を奪われると落ち着いて話を聞けません。そこがどこか、周りに人はいるのか、何が目に付くか、そこから始めるのがベターです。
でもキャラクターの感情や出来事が爆発してるタイミングなら先にそちらからでもいいです。アイマスク付けたままドキドキさせた方がいいこともあるからです。でも必ず後から読んでる人状況も把握させてくださいね。
「シーンのはじめは情景描写」と「書き出しで読者の心を掴め」が合体して生まれた嘘が「書き出しは情景描写」という嘘なんだと思います。
『書き出しは情景描写で読者をひきこめ』
気を付けてください!
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