距離を縮める時間

旅を続けること二日目、一行は大きな街道沿いの宿場町に到着した。そこは王都へと向かう人々や商人たちの休息地として賑わっていた。


「ここで一泊しよう」


アルバート団長が言った。「明日の午後には王都に着く予定だ」


宿に落ち着いた後、レンは町を散策してみることにした。様々な地方から来た人々、珍しい商品を売る露店、行き交う馬車。村とは全く違う光景に、レンは目を輝かせていた。


「ずいぶん楽しそうだな」


背後からガルドの声がした。


「ああ、ガルドさん。こんなに大きな町は初めてで…」


「ここはまだ小さい方だぞ。王都は比べものにならないほど大きい」


二人は並んで歩きながら、町の様子を見ていた。


「…ガルドさんは、なぜ騎士団を辞めたんですか?」レンは少し勇気を出して尋ねた。


ガルドは立ち止まり、遠くを見つめた。


「規律というものはな、多くの人を守るためには必要だ。しかし時に、規律のために見捨てられる者もいる」


「見捨てられる…?」

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