覚醒

「こんなところで…!」


背中を塀に押し付けられ、レンの前にゴブリンたちが迫ってくる。息も上がり、剣を握る手も震えていた。


「村を…家族を守らなければ…!」


レンの心に強い意志が湧き上がった。その時だった。


突然、レンの首にかけていた護符が光り始めた。


「なっ…?」


まばゆい光が放たれ、ゴブリンたちは悲鳴を上げて後ずさりする。不思議な力がレンの体を包み込む感覚。剣が淡く光を放ち、力が漲るのを感じた。


「うおおおっ!」


レンの剣を振るう動きが変わった。まるで体が覚えているかのように、流れるような剣技でゴブリンたちを次々と撃退していく。


村人たちは驚きの目でその光景を見つめていた。平凡な農民の若者が、まるで熟練の剣士のように戦っている。


そして光に怯えたゴブリンたちは、徐々に撤退を始めた。最後の一体が村を去ったとき、レンの護符の光も静かに消えていった。


「レン、大丈夫か?」


駆け寄ってきた父親がレンの肩を掴む。


「父さん…俺、何をしたんだ?」


レンは自分の手を見つめた。あの力は何だったのか。護符の光は何を意味するのか。

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