彼女と別れたら学校一の美女に奪われた件
狼谷怜
序章
𝑷𝒓𝒐𝒓𝒐𝒈𝒖𝒆【別れてすぐに先輩に告白されました】
彼女と別れた。
それだけで全てが収まってしまうほどにショックだった。
本当ならもっと、こう……なにかあるのだろうけど、今の俺には酷くどうでもよかった。
好きだった彼女と別れて、その彼女は今は先輩と遊び呆けている。
別れた理由は彼女の浮気。
薄々気づいてはいたけど、浮気現場を目にしてしまえばショックの反動はとてつもない。
結果的にメンタルと、感情がぐちゃぐちゃになってやる気が一切なくなってしまった。
とはいえ、学校に行かないという選択肢を取るわけにいかず、風当たりは強くても通っている。
が、周囲の視線が気にならないかと言われれば気になるに決まっている。
彼女の広めた噂は回り回って俺のもとに来てしまっているからだ。
「はぁ……」
そんなため息をよくついている。
自分に対しての呆れなのか、疲れから来るものなのかは全く分からない。
けど――
「どうしたの?」
「あ、いや……」
「ほれほれ、甘やかして〜」
「あ、はい」
この人は俺のひとつ上の先輩で、高校3年生の空澄桃華先輩。
容姿端麗、運動神経抜群、スタイル抜群、成績優秀のなんでもありな人だ。
当然そんな人だから周囲からの人気もすごいわけで、毎日誰かしらに囲まれては放課後は告白合戦みたいなことをしている。
女子からの人気も高く、女子力抜群のせいか、女子から囲まれる割合が高い。が、男子も男子で無遠慮は人はその輪に割り込む人も多いとか。
そんな彼女がなぜ俺、
🫧🫧🫧🫧
元カノの青柳カリン《あおやなぎ》と別れてから数日、学校全体にその噂が流れ始めた頃、俺は勉強に心血を注いでいた。
理由は現実から目を背けるため。
元々ゲームの才能とかあったわけでもなく、モチベーションなんてすぐに消える。
つまり男子高生なら誰しもがやるゲームをやらないとなると他にやることは1つ、勉強しかない。
なんともつまらない生活だな。とか、かんとか思っていたら――
――ピンポーン
誰だ……?
母さんと父さんは仕事でいないし、宅配のことも聞いてない。いや、母さんなら言い忘れてたなんてことありそうだけど、だとしてもこんな中途半端な時間に来ることはまず無いし……
「はい」
「あ、よかった家にいてくれて」
「どちら様ですか……?」
「え、あれ? 私だよ!? 私!」
「いや……私って言われても……」
「えぇ……」
マジで誰だか分からない。
すごい美人っていうのは分かる。だってインターホンのカメラを貫通するほどに整った顔してるんだもん。
「あ、名前言えばわかる?」
「まぁ……」
「私、
「空澄……桃華……え!? 空澄先輩!?」
「そうだよ〜」
「す、すみません! 今行きます!」
なにがなんだかわからないけど今すぐに玄関に行かないとまずい気がした。
🫧🫧🫧🫧
「えっと……」
「意外と広い部屋だね」
「え、あ、まぁ……」
学校一人気の先輩が俺の部屋にいるっ!?
なんだなんだこの状況っ!?
え? え? 俺この人と面識あんまないのになんでこんなことになってるんだ??
「さてと、八雲蒼空くん」
「は、はい!」
「そんな緊張しなくていいよ。いきなり押しかけたのは私だし」
「はい……」
「ふふっ、まぁいいや。それでね、折り入って君に伝えたいことがあるんだよ」
「伝えたいこと……ですか? 先輩が……僕に……?」
「そ、誰でもない。君にね」
学校で1番モテる先輩が凡人の俺に伝えたいことってなんだ……?
脅し……とかはしなさそうだし、そもそも先輩と接点なんてないし……告白……なんてことありえな――
「八雲蒼空くん、私と付き合って」
「はい?」
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