Garden of Survivor
氷櫻
第1話 チュートリアル
ある日から世界中で未知のウイルスが流行り出した
感染者は全人類の4分の1以上まで及んだ
所謂パンデミックだ
このウイルスに罹ると仮死状態になり目を覚まさなくなってしまうのだ
症状はただそれだけ
特効薬も無し
飲まず食わずで元の状態を何年も保っていられる
まるで寝ているだけのよう
未だ起きた者は居ない
そのためこの病には"永夢病"と名付けられた
事の発端はとある遺跡から発掘された観測者の墓(パンドラボックス)だ
この箱を開けた直後からこのウイルスが流行り出したと調査から分かったらしい
その箱に1つだけ残された物
それは「招待状」のような物だった
以下、原文をそのまま記す
"観測者は箱庭で人に才を与える、そしてそれらは何れ世界の理に変革を齎すだろう"
ー観測者
この出来事は大々的なニュースとなり連日のように報道されていた
何でも邪馬台国の遺跡だとか、一度滅びた人類の文明だとか全世界の考古学者たちが議論していた記憶がある
そして今、俺はその観測者の箱庭とやらにいる
初めは嘘だと思った
いや、嘘だと思いたかったんだ
だって昨日まで普通に学校に通っていたのにそんな平凡な高校生活を楽しんでいたのに急に知らない世界に飛ばされた
どうやら自分も永夢病に罹ってしまったらしい
そして、この世界はそのような人で構成されているということも知った
ここに来る前、ご丁寧に観測者とやらから直々に説明された
暗闇の中の出来事だったので顔は見えなかったが、嗄れた声から判断するに老人のようだった
先程までの出来事を思い出し会話を再現してみる
「目が覚めたか」
「すいません、ここはどこですか?」
「私の箱庭だ」
「はい?」
「私の箱庭だ」
「そうじゃなくて、もっと具体的に教えてくれませんか!?」
「私はここでは神と等しい存在だ。そして君には才能(タレンタム)が与えられた。どう使うかは君次第、好きにするがいい」
「ちょっと待ってくださいよ!元に戻る方法ってないんですか!?」
「不可能だ」
「何でだよ!神サマならできるだろ!」
「できるできないの話では無い。私にそれをするつもりがない」
「ははっ、ホントはできないんだろ」
「安い挑発だ。乗ると思ったか?被験者(ガーデンテスター)。貴様の様な奴は飽きるほど見てきた」
「目が覚めたら異世界とかツッコミどころしかないだろ」
「ふむ、システムを改善しておくべきか...このやり取りはもう疲れた」
「質問に答えてくれ!何をすれば帰れるんだよ!」
「...強いて言うなら私の実験が成功したらだ」
「そのためにどうすればいい!」
「好きにしろ」
ここで会話は終わった
何1つ大事なことを教えてもらってないことに気づいた
が、もう遅い
でも脳内に説明書があった
比喩とかじゃなくて本当に文字通りの意味で
要点をまとめると
・観測者の墓(パンドラボックス)に含まれていたウイルスに罹るとこの世界に来ること
・全員1つずつ才能(タレンタム)を与えられていること
・人殺しが可能
・他の人から才能(タレンタム)を奪えること
うん
人生詰んだ?
何この理不尽
え?俺なんか悪いことした?
ふざけんなよマジで
まだデイリー消化してなかったんだけど
明日から周年イベント始まるんだけど
そうだ、この世界で最も大事なことを忘れるところだった
ふと思い出す
肝心の俺の才能(タレンタム)は?
(これマジで大事だからな。ハズレが来たら死んだも同然...頼む頼む頼む!)
ピローン♩
不安な自分とは対照的な陽気な音と共に目の前にゲームのUIの様なモノが現れる
そこにはこう書かれていた
貴方の才能(タレンタム)は
"黒夜の顕現"(ナイトブリンガー)
です!
この度は実験に協力していただきありがとうございます!
貴方の幸運を祈っています!
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