こんな道具あったらいいな〜

yukiy's

〜電話詐欺対策〜

※これはフィクションです。物語に出てくる警察が実際にこのようなシステムを提供している訳ではありません。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


―ピンポーンッ―


 「はいはい。」

 お客さんのようね…。


 「はーい、どちら様かしら〜」

 『こんにちは〜。白猫便です! 【伝輪でんわかけろ】様よりお届け物です!』

 (あら、息子からのなんて珍しいわね?)

 もう何年も顔を出さない親不孝者が送ってくるなんてどういう風の吹き回しかしら?



 『お、母さん? 電話かけてきたって事は届いた?』

 「あなたね…『久しぶりの一言もないの?』」

 『あっはは!母さんだっていきなり説教じゃん。』

 「それはあなたがっ……はぁ、もういいわ。ところでこれは何よ?」

 『あ、それね。母さん固定電話持ってるでしょ?』

 「それは持ってるけど―」

 『それ、〝詐欺被害防犯システム〟の通称〝取調Bellベル〟って言うんだ。それ持って交番行って来てよ。』

 「はぁ?交番?なんでそんな所に―」

 『うん、交番でね、データインストールしないと使えないんだよ。』

 「…怪しい物じゃないでしょうね? 私嫌よ、交番行ったらいきなり捕まるとか―」

 『おいおい、実の息子になんて事言うんだよ! 怪しい物なんかじゃないって! 交番に何させると思ってんの??! 俺のこと信じられないなら詳しい事は交番のお巡りさんに聞いてよ!』


 息子に怒られた私は交番に軽い届いたばかりの箱を持って行く―


 「こんにちは―」

 「おや伝輪さん、どうされました?」

 昔からの馴染みの駐在さんがにこやかに対応してくれる。


 ――――――――


 「はははっ! あのやんちゃな翔くんがね! そりゃ伝輪さんが疑うのも仕方ないよ!」

 「そうですよねっ?」

 昔から息子のことを知る駐在さんの言葉に私はやはり怒られるのは理不尽だと改めて思った。

 「いや〜、あの駐在所にいたずらに来てた翔くんがね〜。でもまぁ、今回は翔くんの真面目な贈り物ですよ。その〝取調Bellベル〟ね、今増える巧妙な詐欺被害電話への対策道具なんですよ。」

 「…そうなの?」

 「ええ。電話での詐欺被害が巧妙化してるっていうニュースは見られましたか?」

 「ええ、それは…。」


 最近の詐欺被害電話は巧妙化している。

 『劇場型』とかいう方法で警察をかたった電話でどんどんより上の階級の警察官に代わったように見せたり、担当課が代わったように見せたり―そうすることで信憑性や重大事件に巻き込まれているように見せたりして、詐欺ではないと信じ込ませる、と。


 「…その〝取調Bellベル〟は対策の1つでして。今、警察も自身の信頼をそこなうような警察をいつわった詐欺被害を減らそうとしているんです。

 その〝取調Bellベル〟はかかってきた電話番号を〝警察からのものか、そうでないか〟の振り分け―まぁ名前のように『取調べる』んですよ。」

 「まぁ………」

 「もちろん全ての電話詐欺被害を防げる訳じゃないです。ただ…我々としてもおおやけの機関である警察が利用されて、本当に重大な事件の際に電話で信用されないという事態が起こるような事は許せないのです。」

 そう言って駐在さんはこの〝取調Bellベル〟の使い方を教えてくれた。


 〝取調Bellベル〟は交番や警察署で、警察から一般家庭にかかってくる可能性のある警察の電話番号データをインストールする。

 それだけしてやればあとは固定電話に繋がる電話コードを指し込み、〝取調Bellベル〟から出るコードを固定電話に指すだけだという。

 〝取調Bellベル〟は実は携帯アプリ版もあるらしい。…ただまぁ田舎で固定電話しか持たない私には関係のない事だ。



それから3日…私は息子から届けられた〝取調Bellベル〟に感謝する事になる…。


 『もしもし、伝輪さんでしょうか? 私警視庁の―』

 その言葉を聞いた瞬間、私は〝取調Bellベル〟を見た―

 ランプは―赤!?

 (つまりこれは警察からじゃないっっ??!!)

 私はすぐに〝取調Bellベル〟の真っ赤なボタンを押した!!



 『はい、伝輪です。…警視庁の方がなんの御用でしょうか?』

 詐欺電話対策室にその声が響く―

 「〝取調Bellベル〟の緊急発信だ!被害電話番号は○○○○-○○-○○○○、近くは―駐在所か。駐在所に連絡、それと付近の警察署からもすぐに応援をやってくれ!」


 ―ピンポーン―


 「あ、申し訳ありません、来客ですわ。少々お待ちください。」

 『え、あの―』


 それからは駐在さんが持ってきたパソコンからイヤホンを伸ばし警察の方がボイスチャット(?)とかいうので対応の指示をくれる。

 さらに訪れた警察署の方がコソコソ機材をセットして何かしている―



 最終的にその詐欺グループは捕まったらしく、それを聞いた息子が「ほらなぁ、俺のプレゼントが役に立っただろ?」と偉そうに言う。

 実際、息子のおかげなんだけど…なんかすごく憎たらしい!!

 その事を駐在さんに話したら大爆笑されたのは納得がいかなかった……。




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