この世は恋愛を神格化しすぎている。
@sakatomi
第1話
この世は恋を神格化しすぎている。恋とはそこまで綺麗なものだろうか。私はある程度の恋愛を経験してきたと思っている。容姿もそれなりに良いと自負している。去年の10月高校の時から1年半付き合っていた、彼女と別れた。理由はシンプルだ。彼女に浮気をされていたのだ。私は彼女の浮気を知ってしまった。日々の彼女の態度、雰囲気に何か違和感を覚えていた。ある夜、小学校の頃からの仲の星、鈴木と日課のようにゲームをしていた。彼らは口も軽く、いいところを言えと言われてもすぐには言えないような奴らだ。まともな人間ではないのだろう。そんな奴らだからこそ包み隠さず、すべて話せるのだろう。私は切り出した。そう彼女の話だ。心の中にある違和感、疑問感すべてだ。そうするとすぐに星は切り出した。「友達として、お前に俺の知っていることをすべて話す。」たまには役立つ人間だ。星の当時付き合っていた彼女は私の彼女と親友のような関係だった。星は色んな事を聞かされていたのだろう。星の並べた言葉の一つ一つに私は啞然とするしかなかった。一つはマッチングアプリで出会った男とドライブに行った。また一つは高校の部活の後輩である。男に気があるという事。またその後輩とお酒を飲み、家に泊まったという事。私は嘆息をついてしまった。そしてそれは怒りへと変わった。彼女とは浮気について話すこともあった。彼女はその際にこんな事を吐露していた。「浮気なんてありえない、するぐらいなら別れるべき。」そんなことを言う奴に限ってするわけがない。高を括っていたのだろう。ただ甘かった。浮気の価値観は人によって異なるだろう。ただされた方が浮気と感じたらそれは浮気なのだ。私は彼女にすぐに電話をかけた。寝ていたのだろう。私の怒りをいなすように何が起こっているのか理解できていないようすだった。それもそのはずだろう。信じていた友にしか話していない内容を私が知っているからだ。人とは愚かな生き物だ。一時の感情に任せ行動し、その先に待ち構える物事に目を背け、予測できたであろう事象に気づけないのだから。私は彼女に怒りをぶつけ、わからないと言う彼女に嫌気がさしていたが、彼女と会うことにした。そこで彼女の口から出たのは否定の言葉だった。彼女の口から決してごめんの一言はでなかった。言えなかったのだろう。私も愚かな人間だ。ただただ申し訳なさそうに泣く彼女に情けをかけてしまった。信じようと思ってしまったのだ。今思えばそれはありえないとも思う。ただ好きという感情や愛はそのような感情を見えなくしてしまうのだ。彼女とは別れた。きっと彼女も別れたかったのだろう。しかしなぜだろう。急な出来事だったにも関わらず、未練などといった感情は全くなかったのだ。その後の日々が充実していたからだろうか。私の思うほど愛はなかったのだろうか。そこから私はとにかく遊んだ開放されたように。お酒、タバコ、女。新し恋が芽生えるその瞬間まで遊ぼうと思ったからだ。しかしそのようなものが芽生える気配すら感じない。私たち人間は恋を神格化しすぎている。ラブコメやドラマ、映画のようなきらきらした恋愛をしたいと思っても皆妥協し我慢し好きや愛という感情を誰かにぶつけているのだ。「恋なんてできない。」「恋愛につかれた。」「どうせうまくいかない。」そんなニヒリズムな感情を生み出してしまう恋愛という不確定要素のつまったものを神格化してもいいのだろうか。しかし人は恋をし、人を愛す。そんなことを考えながらまた私は常夜灯の下タバコに火をつける。
この世は恋愛を神格化しすぎている。 @sakatomi
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