Dialogue play
秋野凛花
「オーパーツというものを知っているか?」「なんですかそれ」(SF)
「オーパーツというものを知っているか?」
「……おー……ぱーつ? なんですかそれ」
「その時代の文明や技術では製作が不可能と考えられる古代の出土品や工芸品のことだよ」
「……はあ」
「例えばそうだね、カンブリア紀に金属ボルトがあったら不自然だろう? その時代にはこの地上には海ばかりが広がっており、人間は存在しないのだから。仮に鉄が存在しているとしても、それを加工するのは人間だけだ」
「……そうですか」
「これを工芸品と言って良いのかは謎だが、射殺されたネアンデルタール人の頭蓋骨も発掘されたりしている。これの不思議なところは、当時銃というものはその時代にはなかったはずなんだ。それなのに射殺された跡があったのは一体どういうことなのか……ロマンがあるよね」
「……そうですね」
「ああ、地上絵などもそうだね。あれは忘れちゃいけないほど有名なものだ。素晴らしいものだよね。どういう用途で描かれたかは不明だが、その規模の大きさには圧倒されるものがある。一説では、宗教の巡礼のため、宇宙人との交信のため……などと言われているようだね」
「……へぇ」
「……君、さっきから相槌が適当じゃないか? こんなに面白い話だというのに」
「いや、さっきから何話してるかよく分からないんですよ」
「分からないからこそ知る価値があるんじゃないか。君も明日からこの知識を自慢できるようになるぞ」
「……貴方のような変人と言われている人から教えられた知識をそんな胸を張って話し始めたら、あっという間に周囲からの笑い者ですよ」
「まあ、確かに私の話はここの者たちには理解しがたいところがあるだろう。一応でも、こうして話を聞いてくれるのは君だけだからな。話し相手が居て、私はとても嬉しいよ」
「……面白い話で退屈しないから、暇潰し程度になると思っているだけですよ。で? その……おーぱーつ? ってやつ、まだ話したいことがあるんじゃないですか」
「おお、そうだ。……このオーパーツたちは、実は大半が偽物だったり勘違いだったりと言われているんだ」
「ここまで話しておいてですか?」
「そうだ。例えば先程話した地上絵は、その当時の人の技術を侮っていただけと言われている。ここまで真っ直ぐな線、意味を持った曲線を描くことも、不可能だったわけではない。……それでも、その絵に込められた意味はなんだったのか……その研究は今も進められているがな」
「……結局偽物の話を聞かされているだけなんですか、私は」
「はは。そう不満げな顔をするな。……そうそう、例えば、これも」
「……? それは、鳥を模した金細工ではないですか。それがどうしたんですか?」
「これも、約1500年後には、『黄金のスペースシャトル』というオーパーツとして扱われるようになるんだよ」
「……ええっと……すぺーすしゃとるとは一体……というか、約1500年後とは、随分具体的ですね。何故、そこまではっきりと言い切れるのですか?」
「さて、何故だろうね」
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