第3話 第2章 犠牲

 「何持ってんだよ。」

 「あっ。ちょっと横取りしないでよ。」

 隣で珍しいカプセルを口にしようとした少女から、横取りした少年は、カプセルを見て戯けてみせた。少年の名は隼人。大学3年生である。そして何時も隼人とじゃれ合っている少女の名は由美子。同じく大学3年生である。

 「このカプセル。飲むと死ぬぞ。」

 「えっ。なんでそんな事わかるの?」

 「オレの婆ちゃんがこれと同じカプセル飲んで亡くなったんだ。ただし願い事は叶ったかどうかは知らないが。」

 由美子はびっくりした。願いか叶う薬と言われ老人から貰った事を隼人に話した。

 「オマエ。なんか叶えたい夢でもあるの?」

 「・・・ヒミツ。」

 そう言い残すと由美子は大学の講義へと笑いながら去って行った。

 (オマエの願いならオレが叶えてやる。婆ちゃんの二の舞にはさせない。)

 隼人の拳にはカプセルが入っていた。

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マジカルドラッグ 由比ヶ浜崇子 @mirai-ayumu

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