マジカルドラッグ

由比ヶ浜崇子

第1話 第1章 いじめられっ子

 「おいっ。」

 悪ガキ達が今日もまた独りの少年に難癖をつけ始めた。

 少年の名前はワタル。中学2年生である。ワタルは「おいっ。」と言われた時点で、またイジメられると想定内であった。悪ガキ達はよってたかってワタルを殴り倒しストレスのはけ口にしていた。

 今日もワタルは殴られて身体中アザだらけで学校の帰り道を独りぼっちで歩いていた。

 そんな帰り道、後ろからワタルの肩を叩き老人が声をかけてきた。

 「君、身体中アザだらけで学生服もボロボロで大丈夫かい?」

 老人のその声にワタルは我慢していた涙が溢れた。そして今までの経緯を話した。

 「大変だったね。どうだいこのカプセルを飲んでみては?」

 老人がワタルに差し出したのは何処にでもある。風邪薬のようなカプセルだった。老人の話によると、代償と引き換えに一度だけ願が叶うらしい。

 「うん。飲んでみる!」

 ワタルはそう言うと少し嬉しいそうに老人と別れ家路を急いだ。

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