人生賛美

石神井川弟子南

うたげを設けた午後一時


みな手に土産みやげを持ち寄りて


静かに宴は始まります


宴は最初に飲み食いし


夜九時まで続きます


宴が佳境になりますと


賛美が歌に変わります


歌は沖縄民謡で


皆口々に合いの手と


踊りと声が入り混じり


皆皆様はご満悦


私はひとり聞き惚れて


酒と肴に食い惚れて


妻は他男よそに酔い惚れて


宴は月夜に佳い惚れて


皆皆様はご満悦


同胞はらからたちは楽しそう


妻と他男よそは楽しそう


猫たち皆んな楽しそう


私はタバコを吸い出して


タバコの煙も踊り出す


くるくるくると歌に合わせて踊ります


やがてたけなわとなりまして


三々五々と帰ります


私と妻と他男よその人


電車に乗って帰ります


他男よそは谷越え山越え川越えて


眠りについて帰ります


私と妻は町越え街越え国越えて


起きたままで帰ります


私と妻は家に着き今日一日に感謝して


やがて静かに眠ります


やがて静かに眠ります








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