ぽかぽか炬燵
スザク大温泉
第1話
こつん、と額を合わせる。
由香の顔はふにゃふにゃになって、幸せそうだ。
「ん〜?どうしたの、薪ちゃん。」
「何でも無い。」
そっか〜。と言いながら由香は頭を離し、私の胸に顔を埋めてくる。
由香とこうして恋人関係になったのは、今から3年前の事。大学2年生の時に由香に告白されてからだった。
「私、薪ちゃんの事が大好き。
気持ち悪いかも知れないけど、付き合ってほしい…!」
目をきゅっと瞑り、顔を真っ赤にしてそう言う由香がとても可愛いらしくて。気付けば由香を抱きしめていた。
「ま、薪ちゃん…?」
「嬉しい。私も由香の事、好き。」
「〜〜〜〜っ!」
とっても嬉しそうに私の体に抱きついてきた由香。
あの時も今も、由香はずっと可愛い。
「はぁ〜。やっぱり炬燵っていいねぇ…」
ゴロンと地面に寝そべりながら由香が呟く。
今は年始で、私達は狭いアパートで同居している。
2人で通販で買った炬燵は、我が家の冬の必需品となっているのだ。
でも、やっぱり私は人肌が恋しいようで。
ゴロンと地面に寝そべった由香の体をぐいっと引っ張り、再度抱きしめる。
「何だか、薪ちゃんの方がすっかり甘えんぼさんになっちゃったね。」
「由香のせいだよ。慰めて」
「ふふっ、よしよーし…」
由香のいい匂いに包まれながら頭を撫でられる。
ああ、気持ちいい。まさに至福の時間だ。
「あ、薪ちゃん見て!雪だよ!」
「ん…?おお、確かに」
うっとりして寝落ちする寸前、由香の声で窓の外を見る。外には、白く、ふわふわした雪が地面に降り積もっていた。
「珍しいね、雪降るの。」
「そうだね」
私達の住む東京では滅多な事では雪は降らない。基本的に、冬は晴れの日がほとんどだ。
しかし、今年は雪が降っている。この分だと結構積もるかも知れない。
「外出て見る?」
「いや。由香といちゃいちゃしたい。」
「じゃあ私も薪ちゃんといちゃいちゃする!」
ごろーん。2人で下半身を炬燵に突っ込みながら、お互い抱きしめ合う。
由香の匂い、さっきまで2人で食べていた鍋の匂い、締めのうどんの匂い。いろんな匂いが部屋の中で融合して、私達だけの1日が形成されていく。
(数日雪降らないかな。)
そうしたら、仕事行かずに済むかも知れない。
そうすれば、由香ともっともっといちゃいちゃできる。
そんな事を考えながら目を閉じていく。由香も疲れていたようで、すぅすぅ可愛らしい寝息を立てながら寝てしまっていた。
「おやすみ、由香。」
ちゅっと、由香の柔らかい唇にそっとキスを落として私も眠りについたのだった。
ぽかぽか炬燵 スザク大温泉 @kakuyo480
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