第14話 『古い旅館』


 女性が出張先で古い旅館に泊まった。

 部屋に入ると、掛け軸に墨で『見えている』と書かれている。

 不気味に感じつつも疲れですぐ寝入った。


 夜中、奇妙な視線を感じて目を覚ますと掛け軸が床に落ちていた。

 拾って壁に掛け直そうと裏返した時、彼女は絶句した。

 掛け軸の裏には真っ赤な文字でこう書かれていた。


『裏まで見るな、もう逃がさない』

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