少女と魔剣と戦争と・・・

うさぎねこ紳士3世

プロローグ  1

 

 カザーナディアル大陸。  

 北部は雪原、南部は熱帯気候の、広大な面積を持つ大陸。

  過去、何度も大きな戦争があり、そのたびに国の形が大きく変化してきた歴史を持つ。


 そして現在。

 大小様々な国がある中で、大陸の中央から東にかけて位置する、大陸有数の国土と経済力、そして軍事力を持つ「バルドニア帝国」。  

 数百年続くバルドニアの歴史において、強大な軍事力によって他国を侵略し、国土を拡大してきたバルドニア帝国だったが、現皇帝のバルドニア16世は平和主義で知られ、現在ではいかなる戦争行為も禁止していた。  

 大陸全土においても、それぞれの国の中で、紛争や内乱などはあったものの、国家間での大規模な戦争はなく、大陸全体として見れば、比較的平和な時代を謳歌していた。    

 

 しかし、神王暦926年。  

 バルドニア16世が病死。  

 皇子であるバルドニア17世が跡を継ぐと、バルドニア帝国は急速に軍事力を強め始める。  

 各国は外交や様々な手段を使って自重するよう求めるも、結果は実らず、再び戦争が始まるのではと大陸中で緊張が高まる。    


 神王暦928年。  

 バルドニア帝国は強大な軍事力を背景に、バルドニア17世の名の下、大陸統一を掲げ各国に宣戦布告。近隣諸国に侵略を開始。  

 圧倒的な軍事力のバルドニア帝国に無条件降伏する国も多く、わずか1年足らずで大陸中央部を制圧。  

  

 神王暦931年。  

 バルドニア帝国は既に大陸の中央部と北部。北東の離島と南東を除いた東部。西部の一部を制圧。  

 併合された国や、滅ぼされた国の地域は高い税収と強制的で過酷な労働で衰退の一途を辿り、逆にバルドニア本国は益々の繁栄に沸き上がる。  

 この年、西側諸国はバルドニアの脅威に対抗するため、西国連合を結成する。  

 さらにバルドニア帝国に支配された地域の中から、バルドニア帝国に反感を抱く者たちで作られた民間の抵抗勢力が続出する。    


 神王暦937年。  西国連合。北東と南東の国による根強い抵抗。そして民間による抵抗勢力。  

 外と内からの抵抗、そして広がる戦線の影響でバルドニア帝国の勢いは僅かに弱まっていたが、それでもバルドニア帝国は徐々に、しかし確実に領土を広げていた。  

 北東と南東の国。そして西国連合も、バルドニア軍の侵略を何とか遅らせることができてるだけで、徐々に押されつつある。  

 民間の抵抗勢力も、現れては鎮圧されるを繰り返し、ゲリラ的に何とか戦えてるだけという現状。    


 やがて、抵抗を続ける者たちも、誰もが心の中で思い始めていた。


「帝国バルドニアの大陸統一は、時間の問題だろう」と・・・。

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