第19話
一夜が明けても化け物の爪痕は深く、自衛隊も動かす方向で動く事となった。あくまでも被害が拡大した際の救助活動を円滑にする為の最終的な措置として、ではあるが。絵美はあれから、遠藤達と共に出来得る限りの救助活動を行った。空に浮かぶ巨大な建造物は一夜にして消え去り、宇宙人飛来説に拍車が掛かっている。しかしメディアは単なるビルの崩落事故として取り上げた。それが現場を見た人達がネットで真実はこうだと書き立てる事により論争が激しくなっているのが現状だった。九条駐屯地は、陰陽庁の要請を受けて今回の騒動に噛む事となったが、陰陽庁支部局長の朝倉京子も、朝から学校は欠勤していた。携帯に連絡先を確認して、電話を掛けている。助っ人を他に呼ぶ必要があった為であった。普段はこの時間に居ない大人組も集結している。春坂はここには居ないが、昨日の今日で休ませている。夜には復帰予定であるが。和香がお茶と御茶請けを持ってきて皆に振る舞っている。池島結衣(いけしまゆい)もお茶を受け取って、饅頭で一息ついている。
「ん~♪流石老舗の味」
「和香さん、ありがとう御座います」
「昨日、呼び出しあったんでしょう?」
「ええ、総力戦になると思います。ただ、お爺様はどちらかと言えば、捕り逃がした事より教会の参入に憤ってましたね」
「無理もない話ね。この国の妖怪や魑魅魍魎に対する国家安全保障に他国が介入してくるなんて。米国くらいオープンじゃないと無理じゃないかしら」
米国は独自の組織の他、他国が立ち上げた組織や民間組織が多い。国から金を貰える賞金稼ぎ感覚でそう言った組織が乱立しているせいで荒事も多いと聞く。呪術師や魔術師も多く居る。一応派閥的には教会が一番の幅を利かせているのだが。最近は中国の聖道士も拮抗していると聞く。日本人が民間で組織を立ち上げているらしいが、陰陽庁との関わりは無い。
黒猫が、京子の側に来て様子を伺う。お互い目が合って、少女は願う。
「社長も、手を貸して頂けますか?」
文字通り、猫の手も借りたいという訳だ。
「にゃあ」
と一言、黒猫は任せろと言葉を口にした。
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