天才の努力に凡人の努力は追いつけるだろうか

@NiaNiaSan

零ページ目 プロローグ

 十代で冒険者になった。親がおらず兄妹を養っていかなければならなかったからだ。冒険者になったのは直ぐに稼げて多少前後はするが高い収入をえられたからだ。

努力はできうる限りした。かなりの年数がたって三十前半あたりで中堅にもなることが出来た。


だがここから上がらなくなった。歳なのかもしれないが努力はやめない。でないと鈍るからだ。


そしてだいたい40後半辺りだろうか、冒険者ギルド内にてここ最近聞くようになる話を顔なじみの同じ中堅冒険者から聞いた。


「なんかよお、ここ最近でメキメキと力を上げてるルーキーが現れたみたいだぜ?」


そう言われれば気になるものだ。なのでよく居る場所を聞いて見に行ってみることにした。




教えてもらった場所に行くとそこには恐らく十代後半と思われる少年がいた。


「ん?誰ですか?」


遠くから見ていたつもりだったのだがどうやら気付かれていたようだ。


「ああ、すまない。最近話題になっていると聞いたルーキーがいると言われて気になって見に来ただけだ。」

「はぁ…?あ、僕はムルアといいます」

「俺はギアという。」


俺は握手をしようと手を差し出した。ムルアはその手を見たはずだが体ごと逸らして握手をしてくれることは無かった。俺は無愛想だなと思った。




それから幾日後のこと、また顔なじみの冒険者からムルアのことを聞いた。なんでももう中堅のランクにまで上がっていたらしい。この時点で俺は焦り始めていたのかもしれない。

補足だが冒険者のランクはS.A.B.C.D.E.Fの七ランクある。中堅はCからと言われているが、俺はCランクになってから四年ほどかけて漸くBランクになることが出来た。だいたい一ランク上がるのに平均が三〜六年と言われているためムルアはとんでもなく早く上がっている。それもF〜Cランクまでに数ヶ月程しかかかっていない。ギルド内でも最速だと言われている。



それから5日後ほど、俺はムルアに抜かされた。

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