第四話   「菓子」

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 Tea time.4

  The girl's aesthetics are reflected in sweet cakes.

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「甘っ……悪くないけど、ちょっと甘すぎね、コレ」



 いつもよりシロップの装飾が多い、そのクッキーを口にして、少女は思わずそう呟いた。


 急いで砂糖を入れていない紅茶を飲み干すと、横で控えていた執事によって、すぐにそのカップに新たな茶が注がれる。



「お気に召しませんでしたか?」


「ううん……美味しい、不味いで聞かれれば、それは決まってるんだけど」



 味に関していえば、合格点には違いない。ただ、この甘さは酷く刺々しい。



「お嬢様は、大の甘党だと記憶していたのですが」


「それはそうなんだけど……直接的な砂糖の甘さはちょっと、ね。

 作る過程に砂糖やシロップを入れるのはわかるんだけど……。

 出来上がったお菓子に改めてかけてしまうのは、お菓子を楽しんでるのか、ただ甘さを楽しんでるのか分からなくなってしまうもの」



 小さなこだわり。だが、そんな些細なことが、少女の美学。


 執事の頬が緩む。彼女に仕える事を、また、これで誇れる気がする。



「なるほど……作り手のメイドに伝えておきましょう」


「お願いね。そうだ……ねぇ、知ってる?わたしの味への嗜好と、異性への嗜好がとっても似てるって」



 きょとんとする執事の胸に、自らの背中から寄りかかり、まるで身に着けるかのように、その手を取って、自分の体の前で組ませた。


 執事が、少女を後ろから抱きしめているように、見えなくもない。


 その腕に、擦り寄りながら、少女は言った。



「ほら、お菓子は口を。貴方は心を。同じもので満たしてくれる――」




 求めるものは、『深さ』と『甘さ』

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