第23話|サツマイモごはんと、ひとつの帰り道
ほんのり甘い秋の香りと、少し切なくてやさしい歩幅を――
金木犀の香りがふわっと舞った放課後。
駅までの道を歩きながら、日向は少しだけ上を見上げた。
「秋、もうすぐ終わっちゃうね」
隣で歩く楓は、ふっと笑って応えた。
「そうだね。じゃあ、今日は秋っぽいごはんにしようか」
「……秋っぽい?」
「たとえば、サツマイモごはんとか」
その響きだけで、お腹がすいてくるような、やさしいごはんの名前だった。
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今日のレシピ|ホクホク甘いサツマイモごはん
材料(2人分)
* 米 … 1合
* サツマイモ … 小1本(150〜200g)
* 水 … 適量(炊飯器に合わせて)
* 酒 … 大さじ1
* 塩 … 小さじ1/2
* 黒ごま … 少々(仕上げ用)
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作り方
1. 米をとぐ
米をといで30分ほど浸水させ、ざるにあげておく。
2. サツマイモを切る
よく洗ったサツマイモは皮ごと1.5cmの角切りにし、水にさらしてアク抜きする(5分ほど)。
3. 炊飯
炊飯器に米、通常の水加減、酒、塩を入れ、軽く混ぜる。
その上に水気を切ったサツマイモを乗せて炊飯スタート。
4. 仕上げ
炊きあがったら、さっくり混ぜる。お茶碗に盛って、黒ごまをふりかける。
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炊飯器を開けた瞬間、ふたりは声を揃えた。
「わあ……いい匂い」
ほんのり甘くて、やさしい香りが立ち上る。
ふっくらと炊き上がったごはんのなかに、黄金色の角切りサツマイモがころころと並んでいる。
「いただきます」
一口、ほおばった日向の目がゆるんだ。
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味の感想(by 日向)
サツマイモのほくっとした食感と、ほんのりした甘み。
塩だけで味付けしてるのに、ごはんの甘みが引き立っててびっくりした。
なんだか、ほっとする味。
秋の夕暮れって、ちょっと切なくて、でもこういうごはんがあると、
「ああ、大丈夫」って思えるんだなぁ。
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その夜、洗い物を終えたふたりは、窓の外を見ながら一緒にお茶を飲んだ。
一緒に帰る道も、同じものを食べる時間も、
ゆっくりと、でも確かに日向の中で「大切」になっていく。
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次回は「アクアパッツァと、少しの背伸び」
おしゃれな料理と、不器用な“距離感”の夜。
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