第4話|朝焼けのフレンチトースト

――朝の光と、ほんの少しのドキドキをのせて。



朝のキッチンに、やわらかな陽が差し込む。

その光の中、楓はひときわ真剣な顔で卵を割った。


「こういうのって、朝の魔法って感じじゃない?」


「うん。ふだんパン1枚焼いて終わりだけど……今日はちょっと特別だね」


日向はコーヒーのスイッチを押しながら笑う。

休日の朝、ふたりで同じ時間に起きるのは実は珍しい。

だからこそ――甘くて、温かい朝にしたかった。


---


今日のレシピ|ふわふわフレンチトースト


材料(2人分)

* 食パン(4枚切り) … 2枚(厚めがベスト)

* 卵 … 2個

* 牛乳 … 150ml

* 砂糖 … 大さじ2

* バニラエッセンス … 少々(あれば)

* 無塩バター … 10g

* 粉砂糖 … 適量

* メープルシロップ or はちみつ … 適量

* お好みでフルーツやミントなど


---


作り方

1. ボウルに卵を割り入れ、牛乳、砂糖、バニラエッセンスを加えてよく混ぜる。

2. 食パンは耳を切り落として、4等分にカット(またはそのままでもOK)。

3. 卵液にパンを浸し、ラップをして冷蔵庫で15〜30分。途中で裏返して、しっかり染み込ませる。

 (時短なら両面5分ずつでもOK)


「ねえ……これってさ、パンが卵液吸ってふわふわになるの、なんか恋愛っぽいと思わない?」


「……ど、どういうこと?」


「時間をかけて、じんわり染み込むの。そしたら中まで、やわらかくなってく」


その一言に、日向は不意打ちをくらったようにコーヒーを吹きそうになった。


4. フライパンにバターを溶かし、弱火で両面をこんがり焼く。

焦らず、じっくり。片面3〜4分ずつが目安。


5. 焼き上がったら、お皿に盛って、粉砂糖とシロップをたっぷりかける。

お好みでバナナやベリー、ミントなど添えると華やかに。


---


味の感想(by 日向)

フォークを入れると、すっと沈む。

中まで卵液が染みて、ふんわりとろけるような食感。

表面はバターでこんがり、香ばしく。


「あま……」

思わず声が漏れた。

メープルシロップの香りとともに、心までほどけていくようなやさしい味。


向かい側の楓も、ほっぺをほのかに赤くしながら、同じフレンチトーストをゆっくり味わっていた。


「……ねえ」


朝の空気の中、ふたりの声が重なる。


---


窓の外では、すっかり陽が昇っていた。

ふたりの間にも、じんわりと温かいものが広がっていた。

それはまだ名前のない感情――でも、確かに“育ってる”。


---


次回は「とろとろオムライスと、言えなかったこと」

卵のとろける瞬間と、こぼれそうな想い。

ちょっぴり不器用で、でも確かなやさしさをこめて。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る