地味
僕と魔女。
互いに杖を構え、魔法を撃ちあい続ける。
僕は魔砲を放ち、魔女は魔弾を放つ。お互いに魔力をただ固めて放つだけのシンプルな魔法を使っている。
そのため。
「地味やなぁ」
戦いがこう、めちゃくちゃ地味だった。ありえないくらいの地味さだ。
「そんなことを気にするでないわ。魔法を極めし者の戦いなど、こんなものだ」
「……これを求めて魔法の研究を始めたわけじゃないんだけどなぁ」
見た目地味だが、やっていることのレベルは高い。
互いに当てれば一発で終わりの魔法を放ちあっている。実際は結構凄い戦いなのだ。でも、画として映えそうにない。
「ずいぶんと、余裕そうだなっ!そんなことを考えている暇があるのか!」
「割と僕は暇じゃない?」
全力で逃げ回っている魔女に対して魔砲を向けながら呑気に言葉を返す。
僕と魔女が至った一対一での戦いであれば、カチカチの結界を見に纏った上で、一撃で殺せるほどの威力の魔法を連発して殺すのが一番効率的という結論。魔力を何かに変換するよりも、そのまま高純度で殴った方が結局エネルギー効率が良いという話───その上で。
僕の魔砲は点でなく線。
点の攻撃である魔女の魔弾を一発で何個も撃ち抜きながら魔女に向かって僕の魔砲が飛んでいく。
「攻撃力も、そして、連発する能力も、僕の方が上。君のように逃げ回る必要がない分、僕は遥かに楽だよ?」
この場を埋め尽くす僕の魔砲による光から逃げるように地面を転がっている魔女を眺めながら僕は胸を張る。
「ここが、誰の根城だと……ッ!」
「あぁ、そうだね。でも、それは僕が既に蝕みつつある」
「……っ」
「会話して僕の気を逸らそうたって無駄だよ?僕は結構マルチタスク得意なんだ……僕と会話したことで、君の方が作業を進める手が遅くなっている。これならだいぶ僕の方が速く作業を終えられそうだ」
このアジトは魔女の根城。
僕が自分のお店に様々な細工をしているように、魔女もこのアジト内部に様々な魔法をかけていた。
「後、少し……かな?」
魔女の切り札はこのアジトそのもの。
アジトを利用し、僕を殺そうと画策しているが……既にだいぶ僕がこのアジト内にかけられた魔法を侵食している。あと少しで完全にこのアジト内部の魔法を支配出来る。
そうなれば、もう僕の勝ちだね。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「息切らしていないでさ。僕と会話しようよ」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「そんな風に己の命を削るような形で魔法の準備を進めようたって厳しいよ?そこを、つける魔法ならいくらでもあるさ」
「……ぐっ」
地味な応酬。
それでも、終わりの時は迫っている。
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