大規模魔法

「うーん。すっごい。めちゃくちゃ威圧感を感じるんだけど」


 北の荒野。

 そこには確かに大量の魔物たちがうじゃうじゃといた。

 ここに配置された貴族並びに騎士の皆さんがその力を振るい、魔物たちを次々と倒していっているが、それでもなお、まるで倒しきれるような気配は見えていない。


「本当に……クソ。何でノアが戦場に出なければならないのだ」

 

 北の大地に赴き、呑気に戦場を眺めている僕の隣にいるテールが何処か悔し気に声をあげている。

 

「今、それを言ってもどうしようもないでしょ。さっ、頼まれた分だけの仕事をしようか」


 魔法でテールと共に空に浮かんでいる僕は両手を合わせる。


「ふぅー、行くよ……ッ」


 魔砲は僕の最大火力。

 個人的に最高傑作だと思っている魔法だが、あれが輝くのはあくまで対個人での戦いのときだ。こうして、大量の敵を吹き飛ばすときに輝くような魔法ではない。

 大規模破壊魔法なら、別の方がいい。


「空よりも、大地の方がいいな」


 魔力を込め、詠唱を軽く唱え、魔法陣を空に描いて広げていく。


「……こ、これはっ」


「『天地獄震』」


 大地の精霊の力も借り、僕は地面を掻きまわす。

 大地を捻じ曲げ、それに魔物たちを巻き込んでその肉体を潰していく。


「……こ、これが個人の魔法、だと?」


 大地が洗濯機のようにぐるぐると周り、魔物たちは地面と地面に押しつぶされてただのミンチになる。大地の暴力に、逆らえる者はいない。

 空に浮かんでいる者たちも大地より伸びてくる無数の手に捕まって地面にまで引きずり下ろされ、ミンチとなっていたた。


「ふぅー」


 これで前線から少し後ろにいた魔物たちは全滅だ。


「あー、マジやっばいな」


 ただ、それでもここよりさらに遠くを見れば、大量の魔物がいる。未だい明確な群れとしての形を保っていない大量の魔物たちも一直線に、こちらの方に向かってきている。

 また一日も経てば、同じような光景に逆戻りだろう。


「うーん。何度もは打てないなぁ」


 いくら何でもここまでの規模の魔法はそう連発出来るようなものじゃない。

 龍と戦った時の魔力もまだ完全に戻っていたわけじゃない。今の僕の魔力量は完全に回復した時と比べて、五分の一程度にまで落ち込んでしまっている。

 ちょっとしばらく大規模魔法はうち辞めだ。


「まっ、それでも圧倒的な力は見せられたでしょ」


 既に前線で戦っている人たちは疲弊し、限界が近づきつつあるように見えていた。

 ここで出来た時間は後々効いてきてくれるでしょう。

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