バチバチ

「英雄ともあろうお方がこんなところに来て何をしているのですか?貴方は北で起きている有事の対処をしているはずですわ。こんなところ油を売っているからこそ、ノアが龍殺しなんていう危険な仕事を請け負うことになるんですわ」


「それはこちらのセリフでもある。人を導くべき立場にある王族の御方が何故ここに?」


「こちらは当然のことですわ。ノアをつけ狙う者は外国にもおりますの。それらすべてより守る為、私が彼の傍にいるのは当然のことですわ。これも国益ですの。彼の男としての力はありとあらゆる戦略に勝りますわ」


「彼を下らぬ権力闘争に巻き込むなっ!」


「貴族として彼も生まれたのですわ。それが定めですの」


「何だ、そのつまらぬ言葉は……ッ!」


 僕の前で繰り広げられる英雄と王族のバチバチのやり取り。

 それは中々に激しいものだった……協力して国を守るべき立場にある二人がこんなバチバチでいいのかね?ちょっと色々心配になるんだけど。


「ノアの店で、何をしているのかしら?」


 なんてことをしていた中で、新しくリーシアまでやってくる。

 何時の間にやってきていたんだ……急に勢ぞろいし過ぎじゃない?普通にびっくりするんだけど。


「貴方は確か、そうでしたわね……伯爵家の娘が何の用かしら?」


「何だ?」


 新しくリーシアへと、ドリル女もテールも怪訝そうな表情を向ける。


「愚かですね。お二方。ノアは特別なんですよ?彼の意思以上に大事なものはありますか?私はノアの幼馴染で、最も彼と時間を過ごし、共に成長してきた人間です。それ以上の何かが、貴方たちの立場にあるのですか?」


 リーシアは伯爵家の娘。

 王族と英雄の二人に割って入るにはあまりにも弱すぎる肩書に対し、二人は怪訝そうな表情を見せるが、リーシアは幼馴染というのを武器に戦っていく。


「い、いきなりなんですの!?」


「幼馴染……幼馴染だと?それが何だというのか。」


「私は昨日、ノアから直接婚約者にするなら私だ、と指名されました」


「「……ッ!?」」


 あっ、待って?それは流石に核兵器じゃない?あまりにも言葉が強すぎる。


「彼の心。それ以上に大切なものがあるのかしら?」


「い、いきなり何かしら!?」


「な、な、な、……も、妄言を言うのも大概に?!」


 急な核兵器を前にして、ドリル女もテールもこれ以上ないほどの動揺を見せる。



「静かにしようか?」



「「「……ッ!?」」」


 なんか荒れそう。 

 そんな風に思った僕は少し、言葉に魔力を込めながら場を収めに行った。

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