報告
「だ、大丈夫だったか……?す、すまない。本当に済まない。そこまで大変な仕事であるとは思っていなかったんだ。私が甘かった本当に済まない。大丈夫か?な、何か怪我は」
「け、怪我とかしていない!?大丈夫!?い、痛い思いとか……何か、お姉ちゃんに助けて欲しいことがあったらいつでも言ってね!?」
「あ、安静にしないと……!?」
依頼達成の報告の為に実家へと帰ってきた僕は今、家族たちに囲まれながら全身を触診されていた。
「心配し過ぎだよ。僕は無事に帰ってきたでしょ?」
「そ、そういう問題ではないのだ!私が軽はずみに頼んだことでお前が龍と戦う、なんて危険な目に合わせてしまった。それが、それが許せず……!おぉぉ!?」
「はぁ……」
後悔しかしていない様子のお母さんに僕はため息を吐く。
ほんと、そんな心配しなくていいのに。
「触りすぎ。セクハラだよ?きしょい」
「「「ぐぼぉ!?」」」
心の底から心配だ。
そんな表情と共に、僕の体の感触を触って頼んでいる三人に対して僕は辛らつな言葉を吐いて撃退する。
「ぐぉ……お、おぉ、おぉぉぉ」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「ぶぶぶぶぶぶ」
僕の言葉一つで全員が気落ちこれ以上ないほどに気落ちする。
これが、この世界の男の強さだ。
「よし。さっさと帰るよ」
「え、えぇ……わかったわ」
今のうちだ。
撃退した三人の元からと共に離れる。三人のいた食堂から退出し、そのまま屋敷の廊下へと出る。
「よし。それじゃあ、僕はもう王都に帰ろうかな。ずっと店を開けているわけにもいかないし。リーシアも一緒に帰る?王都まで送るよ」
「……私はこれでも大貴族。そして、貴方も大貴族の息子よ」
リーシアに向けた疑問。
それに対し、彼女は全然違う言葉を返してくる。
「ん?確かにそうだね。でも、それがどうしたの?」
「この世界で男性が結婚するのは義務よ」
「うん。そうだね」
「……私は、貴方の婚約者候補になっているのかしら?」
「えっ?僕は普通に結婚するつもりでいたけど?」
「……へっ?」
僕の答えにリーシアが固まる。
「一緒に暮らす、ってなるとなぁ……良く知っている人がいいよ。リーシアはずっと一緒にいるしね」
「ほ、ほんとに……っ!?」
「うん。まぁ……でも、僕は色々とあれな人物だからね。リーシアが嫌だ、っていうなら素直に引くけど」
「そ、そんなこと言うわけないわっ!」
「ほんと?ありがとっ」
なんか、心が痛い。
浮気するけど、いいよね?って言っている気分だし。
「でも、僕は好きに生きるから……だから、リーシアもいい人がいたら僕なんかすぐに捨てていいからね?」
「そんなこと、するわけないわ!」
「……そう?なら、良いけど」
思ったよりもリーシアからの好感度高いな。ありがたい、ことだけどね。
それでも、僕はこの世界では好きに生きると決めたのだ。
心の痛さを感じながらも、僕は自分の考えを曲げずにリーシアと共にあの店へと帰るのだった。
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