(4)みき – かすかな自信

 デビューして初めての夏がきた。あいかわらず店長には、数字上げろ、って肩を叩かれる。かほさんはエースだけど、わたしはわたしだよ、って心の中でつぶやいた。でも、最近少しづつ、わたしを指名してくれるお客さんが増えてきた。かほさんには及ばないけれど、わたしを認めてくれる人が今のわたしを支えてくれる。


 今日、初めて指名してくれたお客さんはタカシさん。この店の常連らしい。あまった時間にあの嬢の仕事プレイがどうした、この嬢の仕事プレイがどうしたと、いちいち説明してくるのがわずらわしい。わたしはタカシさんがくれたチョコレートを頬張ほおばりながら、一生懸命相槌あいづちを打った。ホントはかほさんのプレイについて聞いてみたかったのだけれど、自信をなくしそうだからやめといた。帰り際、また来てね、ってギュッと抱きついて口づけしたら驚いていた。ちょっとかわいらしく思えた。

(つづく)


(第3章「作品解説」)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175640887064(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

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