(10)結香 - 残酷な宣告

 心も身体からだも翔太さんとつながることができたと思っていた。でも、それはわたしの勘ちがいだった。翔太さんの心がわたしに向いていたわけではなかった。


 でも翔太さん、どうしてわたしと一緒に食事に行ったり、一緒に映画を見に行ってくれたりしたのだろう。わたしの気持ちに気づいてくれないままだったのは悲しいけれど、そのことがちょっと不思議。一緒に映画を見に行ったあの時、隣の席に座る翔太さんの手にそっとふれていたら、翔太さんはわたしの気持ちに気づいてくれただろうか。


 翔太さん、今でも好きな人がいるっていってたけれど、どんな人なんだろう。「かほ」という名前だけ教えてくれたけれど、それだけじゃ何もわからない。ひところ翔太さんが風俗嬢にガチ恋してるって隣の課のタカシが噂話うわさばなしをしていたけれど、いかにも遊んでそうなヤツの話なんて信用できない。それに翔太さんに限ってそんなことあるはずがない。それとも、実はあのうわさ、本当のことだったのだろうか。男の人の心を引きつける風俗嬢ってどんな仕事をしているのだろう。そこで働いたら、わたしも女性として魅力的になれるだろうか。

(つづく)


(第2章「作品解説」)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175639994320(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

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