(3)翔太 - かほと過ごした冬

 その年の冬、そろそろ初雪が降ろうという頃、かほを本指名した。2度目のかほは、白い肌が薄暗い照明にはえる。小ぶりな胸がワンピースを押し上げ、丸い尻が柔らかく揺れた。また来てくれたのね、とかほがほほえんだ。うなずきながらかほの名前をよびかけると、かほがぼくの肩に手を乗せてくる。背伸びをするかほと向きあい口づけをかわした。新鮮な体験だった。柔らかいかほのくちびるがぼくのくちびるにふれ、温かいかほの吐息といきがぼくの鼻先をくすぐった。


 ベッドに座り、ぼくの指がおそるおそるかほの背中にふれる。かほの身体からだは思いのほか肉感的。初めてふれる女性の身体からだである。その柔らかさに驚いた。かほの肩から腰までぼくの指が移動すると、かほの身体からだがかすかにふるえた。ぼくの指がぎこちなかったのだろうか、ほほえみながらももっとやさしくしてほしいとかほが伝えてきた。かほの手に導かれるように、ぼくの指がかほの首筋にふれた。かほは小さな声をもらした。やさしいのねと、かほがほほえんでいた。


 ぼくはもうすでに完全に恋にちていた。ぼくの指がかほの首筋を往復するが、かほの目はもっとやさしくしてほしいと訴えていた。かほはやさしくぼくの手を取りそのエリアに導くと、かほの身体からだがかすかにふるえた。ちょっとだけ親密さを感じたけれど、これはかほの仕事である。他人の言葉を信じ切ることができないぼくはつい人の言葉を疑ってしまう。かほの言葉も信じることができなかった。


 それでも、初めて会ったときよりは会話できた気がする。ただ、仕事は何しているかとたずねられて思わず会社名を答えたのだけれど、せっかくならもっと楽しい話をしたかった。

(つづく)


(第1章「作品解説」)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175599033689(CatGPTって、なに?)

https://kakuyomu.jp/works/16818622175437139934/episodes/16818622175437190031

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る