のじゃロリ魔王に恋する勇者くん。
「ぐはっ?!」
「くっくっくっ。勇者とて単身で我が魔王城に乗り込むとはなぁ。馬鹿も極まると勇者と名乗れる世とは恐ろしいのぅ」
勇者の腹を貫く禍々しい剣。
深々と刺さっている剣を引き抜こうとしてか刃を握る勇者。
「やっぱり……駄目か……」
「勇者とあろう者が泣き言を吐くか? その程度の精神で妾に挑もうなどとは」
「魔王、オレと結婚しよう!!」
のじゃロリ魔王は一瞬その言葉の意味を理解出来なかった。
しかし本能的に言い表すことのできない理解不能の恐怖に襲われた魔王は剣を引き抜こうとすると剣が抜けない。
どころか剣を握っていた手を掴まれてしまっていた。
「き、貴様?! 何を言っておる?!」
「結婚しよう!」
「阿呆かっ?! とにかく手を離さぬかッ?!」
「今、オレと魔王はこの剣で繋がっているんだ」
「きっっっも?! なんじゃこの勇者?! 腹に剣刺されて興奮しとるっ?!」
「これもきっと愛のカタチなんだな」
「愛も何もあるものか?! 離せ!!」
そうして魔王は先程までの戦いの違和感の正体に気付いた。
なぜ一向に攻撃をせずに防戦一方だったのか。
なぜこの勇者から殺気をそこまで感じなかったのか。
「もう世界平和とかどうでもいいから結婚しよう!!」
「こんな勇者は嫌じゃぁぁぁぁ!!」
半泣きになりながら必死に剣を引き抜こうとパニックに
勇者は剣を刺されて「はぁ♡ はぁ♡」と肩で息をしている事すら魔王には興奮しているようにか見えず、生まれて初めて強さ以外の恐怖を知った。
「大丈夫だぞ。初めてかもしれないけど、痛くしないから?」
「何言ってるかわからぬがとにかくキモイっ!!」
その後、魔王はどうにか勇者から離れて逃げたらしい。
しかし勇者は今も魔王を探して世界を旅しているという。
魔王は知った。
この世で最も恐ろしいのは魔王である自分などではないと。
ましてや力でも、神でもない。
変態であると。
「みつけた」
「いやぁぁぁぁぁ?!」
そして世界は平和になったのである。
HENTAIは世界を救ったのだ。
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