第26話

疑問符ばかりが浮かぶ私をよそに、綾はいたく自信満々な様子で。




「引き出しは4次元空間に繋がってるって相場は決まってるだろーが」




知らなかったのか?みたいな顔でそんなことを言う。


ちょ、待って。


なに言ってるのこの人。なに言ってるのこの人。


もう一回言ってやる。


…何言ってるの?




「え、4次元?4次元空間?」




どうしよう、綾がおかしい。


ツッコんでいいのかどうかも図りかねる。


とりあえず、今までの発言の中で1番トんでる。


おろおろと、所在無く綾以外のメンバーの顔を見回していれば。




「あー、そっか!そうだよねー!」



「引き出しと言えば4次元空間だな~」




常識でしょ、みたいなノリで会話を進める問題児たち。


…私か!?


私がおかしいのか!?


いやいやいや、…えぇ!?


そりゃ陽平って本気出したら4次元空間とかに入れそうだけど…!


…待って、私の思考回路までおかしくなってる。


もうやだ、陽平がどこまでも底が知れないからだ。


いったん落ちつこう、と深呼吸を数回繰り返す。


そうしている間にも、問題児たちは着々と引き出しを調べていく。

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